今日は市議会厚生消防委員会が開かれ「小倉北ふれあい保育所への指定管理者制度導入の見直しについて」「市立一枝保育所の民間移譲等の反対について」2件の陳情の審査と採決が行われました。
「保育所に指定管理者制度は本来なじまない」
平成15年6月の地方自治法改正で、公の施設を管理委託する場合には指定管理者を選定し、議会での議決をすることになりました。社会福祉施設も例外ではなく、市では民間委託を行っている「小倉北ふれあい保育所」をはじめ8保育所、緑地保育センター2カ所、へき地保育所1カ所への指定管理者制度導入を進めることとし12月議会で議決を求めることとしてきました。
陳情は「保育の場への指定管理制度導入は疑問だ」「5年の指定が解除された場合、保育現場は混乱する」として見直しを求める内容でした。陳情の趣旨に私は同感です。
保育所は、地域の保護者との連携を長年の苦労の末に作り上げていくものです。また、保育者を育てていくのにも多くの先輩の経験や指導を積み重ねて進めていきます。複数の子どもたちを10年以上にわたって、保育所に通わせる家庭も珍しくありません。
それが5年ごとに委託先が変わっていくとなるとどうなるか、語る必要もないでしょう。現場は大混乱。多数の保育士さんたちもいきなり首と言うことになりますが、あり得ないことですね。
現実には、ふれあい保育所にしても現在委託を受けている法人しか応募がなく、12月議会ではこの法人が引き続き委託することが議決されることになると思われます。
他の政令市の動向についても、私の質問に保育課長は「民間委託している所で、管理者が変更になる例は聞いていない」と答弁されました。どの自治体でも、現状で変更せずに委託する結果となっているのです。当然ですね。
委員会で私は「他の自治体の動向をみても、現状としているのはお答えのあったとおり。本来、保育所への指定管理者導入はなじまないのだ。委託先が変更とならない実態と、法改正の状況から、今回の指定管理制度導入については了とするが、この5年のうちに他の自治体とも連携して、制度の変更を国に働きかけるべきだ。」と意見を述べました。
民間保育園はレベルが低いか?
2つめの陳情は戸畑区一枝保育所の民間移譲について。
民間移譲に反対との趣旨で口頭陳情に立たれた女性の方は「公立保育所は教育がしっかりしている。民間は営利目的。毎日の散歩も民間ではしてもらえない」などと述べられました。男性の陳情者も「民間委託された保育所では、質の低下に関する苦情が増えている」と述べられました。驚きましたね。
さらに委員会で質問したある議員からは「民間保育士の質が低いことは否定できない」との発言が飛び出す始末でした。
ここまで言われては、私は黙っている訳にはいきません。ここには大いなる誤解がある。(あるいは意図的な宣伝があると疑ってしまいます。)民間保育園の保育士さんが、もし一般的に質が低い保育しかできないなどという実態や根拠があるのだったら是非示して欲しいものです。
そこで私は「これまで本委員会では、保育所の民営化もしくは民間移譲などの論議を再三つづけてきた。民営化に反対の議員も、公立と民間との比率の問題や経費の問題を取り上げられたが、民間保育園の保育の質が悪いと言ってるのではないと述べられてきたはずだ。
今日、これほどあからさまに民間保育園の質が低いと言われると、私は申し上げない訳にはいかない。
①私は民間保育園のすばらしい先生方を何人も知っている。逆に、公立保育所の保育に対する問題を指摘する声も知っている。要は、先生方の人間性であり、その園での指導や研修の問題でもある。公立だから良くて、民間だから悪いというものではないはずだ。
②北九州市の民間保育園と公立保育園は過去50年にわたって区別なく一緒に研修を続けてきている。ともに保育の質を高めてきたのだ。この歴史の積み重ねをふまえて欲しい。
また、乳児や延長保育など、保育の多様化に応える先進的な取り組みは、北九州ではむしろ民間が先導して取り組んできた。
③さらに、営利が追求されるといわれるが、民間保育園とは社会福祉法人が運営しているのであり、社会福祉法人は本来営利を追求できない性格のものだ。
本市の民間保育園の関係者先生方は、この競争原理の導入といわれるなかで、まさに営利を目的とする企業などが進出してくることを心配し、子どもたちを営利の場にさらしてはならないとがんばっておられる。
この点で、市民や関係者に誤解があるとすれば、市当局も誠心誠意説明をして、その誤解をとくよう努力して欲しい。」と述べました。(発言要旨です。)
民間が無条件に良いなどと申し上げているつもりはさらさらありません。
しかし厳しい労働条件の下でも、子どもたちのために、がんばってすばらしい保育を実践されている民間保育園の保育士さんたちが、こんな言われ方をされるのはあまりにも不当というものです。