政権政策の熟議不足反省を。民主党代表選(その2)

20日の民主党代表選挙についての意見交換会では、次期衆議院選挙までの大連立の是非などをふくめて多様な意見がだされました。
私が強調したのは、マニフェストの策定過程をふくめて政権政策がどのように検討されて、実現可能なリアルな政策として掲げられようとしてきたのかを検証すべきだという点でした。
民主党への期待は、明らかに小泉・安倍政権以降の社会保障削減、雇用破壊と格差拡大・社会不安増大への国民の強い反発によるものでした。歴史的政権交代に先んじた福岡市長選や北九州市長選挙あるいは統一自治体選挙で、各民主党推薦候補は誰もが支持者から口々に「年金や医療、雇用などへの強い不安と安心への希望」を聞かされたのを覚えているはずです。
これらの不安に対して「国民生活が第一」というスローガンはピタッと合致し、それを具体化した「マニフェスト」実現への期待はさらに大きくなったのでした。
そのマニフェスト、子ども手当にしても高校無償化や診療報酬引き上げや、地方財源の拡充などなど、実現には多額の財源を必要とします。
しかし、事業仕訳による無駄の削減だけでは、これらを賄いきれず、埋蔵金もそれほどの額を確保できななかった。特別会計の組み替えによる財源ねん出も進んでいない。おまけに「最低でも県外」としてきた普天間飛行場の移転は自民党政権時代に逆もどりし、管首相は突如、消費税増税をうちだして参議院で大敗、衆参でのねじれを生み出してしまった。国民の失望が大きいのは当然と言わなければなりません。
そもそもマニフェストは、その財源を確保し実現できると真剣に検討してきたからこそ掲げたのではなかったのか。その実現性について、一体どれほどリアルに検討されてきたのか、強い疑問を覚えないではいられません。実現できない公約なんて政治スローガンでしかない。

本来、政権交代を実現できたらスタートダッシュできるようにとネクストキャビネットが置かれてきたのではなかったか、そこでの真剣な検討の結果、いつでもとってかわって実現できる政策を民主党は練ってきたのではなかったのか。
なのに政権交代後、ネクスト大臣は現実の大臣にほとんどならなかった。政策審議会は廃止され、シンクタンク「プラトン」も消滅してしまった。現場で国民に接している地方議員が、その知見を政権政策に反映する組織も手法も未確立でしかない。
ここに透けてみえるのは「現実的でリアルな政権政策を立案し、検討を重ね、推進する政治文化」を軽視して、政局的スローガンに堕してしまったマニフェストを前に、困惑しながら立ち止まっている民主党中央の姿です。
民主党新代表は、まずこのことを率直に反省し、次の社会に一歩でも前進する現実的で実現可能な政権政策を真剣に練り直し、一から国民の信頼を回復する努力を開始するべきだ、というのが私の意見です。

民主党代表選挙は29日にも実施されるようです。こうした視点から、誰が、どのような主張をなさるのか、私も注視しながら推移を見守りたいと思っています。

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