平成25年度決算等を審議する北九州市議会9月定例化がはじまり、本会議を終了後、16日からは決算特別委員会がはじまりました。
平成25年度決算は、当初予算編成時の厳しい見通しであったのが一転、市税収入が2年ぶりの増収となったことや、人件費の削減など歳出抑制により、当初は収支ギャップを補うため123億円も取り崩すとしていた財源要調整用基金も取り崩さずにすんだという好ましい決算となりました。
そこで、本会議などでは「市税収入が伸びたのはアベノミクス効果の表れだ」「いやアベノミクスの恩恵はない」などの議論が交わされました。
たしかに法人市民税や市民税の増の要因には、円安・株高等による企業収益の改善等があったのですが、残念ながら、これを直ちにアベノミクス効果というのは早計に過ぎるようです。
というのも、それらの課税対象となった収益収入は主に平成24年度のものであり、政権交代はその年の12月でした。黒田日銀総裁が「異次元緩和」を打ち出したのは翌年の4月。「金融緩和がおこなわれても、実体経済のその効果が現れるには、少なくとも半年はかかるはず」(服部茂幸『アベノミクスの終焉』)ですから、税収増はアベノミクス効果という訳ではなく、それ以前の高収益の結果だというのが本当のところでしょう。実際、安倍政権が誕生する前の平成24年度の前半の景気は回復基調にありました。安倍政権が誕生した後の平成25年5月には株価は逆に大きく低下します。
アベノミクス効果がどのように展開するのかは、まだ不透明です。その主張通り「企業収益が上がり、雇用や賃金の拡大につなげて」いけるのかどうか、私自身は懐疑的ですが、今後も冷静に注視していきたいと思います。