安倍政権がぶっとぶ?後期高齢者医療保険制度

昨日は「水辺の楽校」開校式の後、第1回福岡県後期高齢者医療広域連合議会臨時会が福岡市で開かれました。私も同連合の議員ですので出席しました。
この制度、昨年6月の国会で「健康保険法の一部改正」として制度が決められたものでまだ一般の方々にはほとんど知られていません。現在の老人保健制度に替わって来年の四月から75歳以上の後期高齢者を被保険者とする医療制度を創設するもので「各保険者間の責任の明確化や費用負担の世代間の公平を考慮したもの」で「制度運営での財政の安定化を図る」ものとしていますが、私には高齢者社会に改めて大変深刻な問題を投げかけるものとなるだろうとしか思えません。
高齢者医療費はもともと高いことから、それだけを切り出す同制度による75歳以上の高齢者の保険料は標準でも1ヶ月6千円を超えると見られ、高齢者の費用負担は現在よりも確実に高くなるでしょう。なかでも全国一医療費が高いとされる福岡県の場合、さらに保険料は高くなるはずです。所得の低い高齢者が多く、かつ医療費が高い場合、所得のある高齢者はさらに負担増を強いられることになることは国民健康保険制度で実験ずみですね。
現役家族の扶養に入っていた高齢者は75歳になると保険料負担を強いられることになり丸まるの負担増となるなど制度上の問題点も少なくありません。
また県ごとの保険ですから、医療費の削減競争を生むことになり、適切な医療提供が確保されるのかどうかも懸念されます。結局は、寿命が長く医療費を多く使う県よりも、高齢者の寿命が短く医療費が安い県の方が得をする制度であり、極論ですがこれは「長寿を厭う制度」となってしまうのではないか。75歳以上の高齢者に対する医療がそれで本当に良いのでしょうか。
来年4月から実施するには今年の11月にも広域連合議会で保険料などを決める必要があります。しかし、厚生労働省は今月上旬に保険料等の算定の基礎となる制度の枠組みを示すとしているだけで、まだ何も示されていないのです。医療費削減を急ぐあまり自公連立政権が慌てて決めていった同制度の内容が、今後示されるに従って、国民からはさらに強い批判の声が上がってくるでしょう。
今回の参議院選挙で示された「ライフラインを破壊されようとしている庶民の怒り」は、この制度の発足で収まるどころかさらに増幅するだろうと思います。
安倍首相は参議院選挙での敗北後も続投に固執していますが、この問題でぶっとぶ可能性すらあるのではないかとすら私は思います。もちろん対応を誤れば、民主党と言えども民意の前に蹴散らされかねません。
制度自身は、国会で決められた枠組みである以上、すでに一自治体で解決できる問題ではありません。この問題については今後多くの国会議員や党関係者に働きかけながら、本当に高齢者が安心してかかることのできる医療とはどういう制度なのか、検討しつつ対応して行きたいと思ってます。

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