先輩・菜の花プロジェクトを見学

昨日から市議会の「安全で快適なまちづくり特別委員会」の行政視察に出発。今日は北橋健治北九州市長が実施すると宣言している環境学習のプログラム「菜の花プロジェクト」の発祥の地・滋賀県東近江市愛東地区を訪ねました。
愛東地区では、廃食油を燃料化する取り組みをベースに平成10年から菜の花を栽培しはじめました。収穫した種から油を絞り、学校給食や一般家庭で食用油として使用した後の廃食油をバイオディーゼル燃料に精製、ディーゼル車の燃料として使用。輩出された二酸化炭素は、菜の花によって吸収されるので環境に負荷をかけない「資源循環型プロジェクト」として実施されています。
平成17年には菜種の乾燥・搾油、燃料化を行うプロジェクトの拠点施設「あいとうエコプラザ・菜の花館」ができており(写真)、私たちはそこで館と事業を運営するNPOの方からお話を聞くことができました。

この地区の環境運動のきっかけは、20年前琵琶湖の赤潮が問題となったとき琵琶湖の水質保全を目的に廃食油を改修して石けんを作る運動にありました。現在でも廃食油に限らず、カンやビン、ペットボトルや乾電池に到るまで回収や持ち込みは全て住民が輪番制で実施、それが20年以上も続いているそうです。近江地域では近江商人を中心にもともと節約と三方得を旨とする気風を持っており、人の出入りが少なく地域コミュニティが壊れていないことも、この地区で住民主体の環境運動が長く続いていく背景となったようです。
そこで教訓の第一は、菜の花プロジェクトが成功するには幅広い住民の参加と主体性が求められると言うことでしょう。廃食油をどれだけ幅広く集められるか、また集荷場の清掃や異物の混入防止など、地域住民の幅広い協力をいただく独自の工夫が求められるでしょう。

さて、廃食油からできたバイオディーゼル燃料は、軽油と比べても燃費・馬力はほとんど変わらない。黒煙は3分の1、二酸化炭素発生量は78.4%軽減するし、新規の排出でもないという利点を持っています。しかもエンジンの改造も必要ないとくれば、まさに資源循環型社会にふさわしい燃料だといえるでしょう。
ただ、まだ一般には入手が難しいこと、排気ガスの臭いが気になる、引火点が低く安全な分氷点下では対策が必要、軽油との混合では全量課税されるなどの問題点も存在します。
愛東地区でもコミュニティバス2台の燃料にBDFを活用してますが全量をまかなうことはできていないとのことでした。
課税の問題などは今後解決するとは思いますが、まだまだ社会での確固とした実用化には遠い道のりがあるようです。
北九州市では、まずは環境学習としての「菜の花プロジェクト」を立ち上げながら、勉強しつつ実用化への手法を研究することから始めるのが適当なのではないかと感じました。
明日は神戸市に移動します。

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