市長質疑の二つ目の課題は、地震被害の想定についてでした。
実は、北九州市内には小倉東断層と福智山断層帯(頓野断層を含む)の二つの活断層が存在する ことが知られています。
しかし、平成7年から9年に市が実施した調査の結果「活断層によるマグニチュード7クラスの地震が差し迫って起こる危険性はない」とされたため、活断層による地震被害の想定は排除され「被害想定を実施する際の前提となる地震の規模は、日本ではどこでも起こる可能性がある地下岩盤の活動によるマグニチュード6クラス(最大震度6弱)の中規模地震である。」とされてきました。(これが安全神話の生まれた一因だと私は考えています。)
しかし、平成24年3月に福岡県が、新たな知見を反映した地震被害想定として「地震に関する防災アセスメント調査」結果を発表し、小倉東断層による地震はマグニチュード6.9、最大震度一部6強、死者429人避難者21380人、建物被害10576棟などの被害を想定しました。
さらに、平成25年2月には地震調査研究推進本部地震調査委員会が「九州地域の活断層の長期評価」を発表、小倉東断層の長期評価について「マグニチュード7.1程度の地震が発生する可能性がある」とし、同断層の平均活動間隔が不明であるため、地震後経過率を求めることはできない」ので「延長方向における活断層の存在や、過去の断層活動に関する精度の良いデータを取得する必要がある」とまとめたほか、福智山断層帯についても「マグニチュード7.2程度の地震が発生する可能性がある」「将来の活動性について注意すべき活断層である」とし「今後活動履歴に関する詳細なデータを集積させる必要がある」とまとめました。
これらの提言にもとづいて、平成25年7月から国の独立行政法人産業技術総合研究所による「地域評価のための活断層調査」が開始され、現在も本市内の活断層の調査が実施されていることが北橋市長の答弁でも明らかになりました。
両断層の位置の形状や活動履歴等を調査して、来年度には報告がまとめられ評価の見直しの必要性などが検討される見通しであり、北橋市長は「こうした調査等による科学的知見の積み上げは重要であり、調査結果が示された段階で、地域防災計画にも反映し、震災対策の充実をはかっていきたい」と述べました。
これらの調査結果を見まもりたいと思いますが、私は今後、これら市内の二つの活断層の評価は揺れて行くのではないかと考えています。過去の調査結果だけにこだわり「差し迫った危険性はない」と想定から除外してしまって良いのか、今後も十分な研究と論議が求められていると言えるでしょう。
イラストは福智山断層帯の図。出典「平成25年2月1日地震調査研究推進本部地震調査委員会『九 州地域の活断層の長期評価』(第一版)より」