「安全神話」から脱却できるか

今日は市議会決算特別委員会の最後に行われる市長出席質疑が開かれました。

私からは「地域防災計画見直し後の取り組みと、震災対策について」市長の見解を質しました。

市の災害対策の基本である「北九州市地域防災計画」は、東日本大震災後、あの「釜石の奇跡」として著名な群馬大学・片田敏孝教授に見直し検討会の座長についていただき(市にとっては誠に幸運というべきでした。)、見直し作業が行われました。

計画の基本的な考え方は「想定を超える災害により、防ぎきれない事態が起こりうることを前提に、これに対して無策で臨むのではなく、被害をいかに小さくするかということを主眼に、これまで取り組んできたハード対策とともに、的確な情報伝達や速やかで確実な避難行動、自主防災組織による助け合いなどのソフト対策を重層的に組み合わせた『減災』対策を推進する。」というものです。

ところが、見直し後に各区で住民との意見交換を開始してみると「北九州市では大きな災害はおきない」と考える人が多いことが分かりました。

これでは「想定を超える災害」への対応がおろそかになり、いざという時に大きな被害を生みかねません。

そこで北橋市長には「本市の災害対策の基本である地域防災計画の見直しの意義と、見直し後の取り組みの成果、明らかになった課題と、今後の取り組み方について」たずねました。

北橋市長は「計画の見直し後、平成25年度からは、くるま座集会を全区で行うなど住民同士の意見交換等をしてきたが、北九州市には大災害は起きないという安全神話が定着している。」とし、「そこで緊急速報メールを活用した全市民参加型の防災訓練の実施や、地区防災計画の作成などモデル事業に取り組んでいる。また、防災ガイドブック作成中であり、それには災害の兆候や避難行動・非難所・家庭での備え・ハザードマップも幅広く掲載している。来年6月中旬までに全世帯に配布予定であり、これらの内容を参考に、市民一人一人の防災意識の向上を図り、地域防災力の向上に努めていきたい」と答弁しました。

私はさらに「想定を超える災害、特に地震への対応については、私たち自身の自省をこめて意識改革が必要なのではないか」と市長自身の感想を求めましたが、北橋市長は「水害については昭和28年災害など過去にも大きな災害があり忘れてはならないとするものの、地震については、市制50周年の時期に震度3規模が2回あったとはいうものの、北部九州の地盤は安定性があり、企業誘致の面でもリスクが低いとしてきたため、危機意識がどうしても弱くなっていると感じている。」と述べるにとどまりました。

確かに、北部九州は巨大地震が想定される南海トラフのプレート境界からは遠く、玄界灘をはじめ周辺海域の断層帯による津波なども軽微なものと想定されるなど相対的には震災のリスクが低いように思えます。

しかし、「差し迫った危険性はない」とされてきた市内の小倉東断層・福智山断層の再評価と併せ、本市においても想定を超える震災が発生することを前提に、自らが命を守り、被害を小さくする「減災対策」を進めることが求められているのではないでしょうか。

この問題は、本市防災の基本課題であり、今後ともしっかり論議していきたいと思っています。

イラストは市の防災キャラクター「チェックル」。


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