北九州市では、昨日ようやく新型ウイルス新規感染者がゼロとなったと喜んだのもつかの間、6月12日には新たに4人の感染者が確認され、そのすべてが今のところ感染経路が不明で、うち一人は小学生であると報告されました。一喜一憂してもはじまらないとはいえ、厳しい状況が続きます。
市では、14日午後に、現状を医学・疫学的見地から助言等をいただく目的で、専門家会議を開くことにしています。
その模様は、開会中の市議会の、15日の保健福祉員会でも質問しながら、内容を伺ってみようと思っています。北九州市で、何が起こっているのか、専門家の皆さんのお考えを私たちもぜひ伺いたいものと思っていますので。
ところで、北九州市が新型コロナウイルス感染症のPCR検査で対象を濃厚接触者全員に拡大したことで、全国的な評価をうけている点について、福岡県の小川知事が開会中の県議会で、すでに2月の段階の実務者会議で濃厚接触者全員の検査を実施する独自基準を設けていたと答弁。北橋市長は「日本初」と強調したが、実は「北九州市以外は当初から実施していた」という内容の報道がなされました。
「え、それ本当ですか?」という疑問がわきました。
北九州市がPCR検査の対象を濃厚接触者全員に拡大した後に見られた顕著な特徴は、濃厚接触者の陽性患者さんに無症状の方がたくさんおられたことでした。
たとえば5月23日から31日までの陽性確認者97人のうち濃厚接触者は63人、うち無症状の方は半分以上の46人に上りました。驚きでしたが、これは4月の「第一波」には見られませんでした。
もし県内他市が、報道の通り当初から現在の北九州市と同様に濃厚接触者全員のPCR検査を実施していたとすれば、当時から同様に多数の無症状の陽性患者さんが確認されていたのではないかと思われます。
ところが、たとえば福岡市では4月13日から16日の間に719件のPCR検査が実施されています。その結果、陽性確認者は53人、うち濃厚接触者は31人と思われるのですが、そのほとんどは発熱などの症状が報告されており、無症状の方は6人程度だと思われます。(福岡市ホームページによる)
つまり、この時点での福岡市で検査をうけた濃厚接触者のほとんどは有症者であり、無症状の濃厚接触者までに対象が拡大されていたとは言えないのではないでしょうか。
北九州市の4月段階でも、陽性者が確認された医療機関については検査対象を濃厚接触者をはじめ関係者全員に拡大して実施していますし、結局は、この段階の実態はどこもそれほど変わりがなかったのではないか、というのが私の感想です。
北橋市長は「僕は日本初といったことはないんだけどねえ」とつぶやいておられましたが、北九州市が5月25日から他市よりも「積極的なPCR検査に踏み出した」のは事実であり、その意義は大きいと私は強調しておきたいのです。
とは言いながら、県や他市との足の引っ張り合いは本意ではありません。厚労省も遅まきながら6月2日に、ようやくPCR検査の対象拡大を打ち出しましたし、今後は全国で検査の拡大と改善が進められるものと思います。
私たちも、PCR検査をはじめ、抗原検査なども含めた感染状況の洗い出しと感染予防策の拡充を通じて、市民生活の継続と感染予防が両立するまちの姿を追い求めていきたいものと考えています。