夏休みに入ると、野山などに出かける子どもたちも多いことでしょう。自然の中で元気に遊びまわってほしいものですね。
遊び疲れて、緑の中に一人で座っていると、カサッと葉擦れの音がして、小さな人影が見えたような気が…。
そんな想像をしてみると楽しいですね。
もちの木を探しに小山に入った小学校3年生の「ぼく」は、そこで小指ほどしかない小さな人々に出合います。
コロボックルと名付けたその小人たちの国を守るために「ぼく」はそこを借り、小屋を作って「国つくり」を進めます。
ところがこの山を自動車専用道路用地として買収する計画が持ち上がり、さあ大変。ぼくとコロボックルたちは、その計画を変更させようと、いろいろな計略を実行することに…。
この作品が初版されたのは昭和59年のこと。以降、「コロボックル物語」大人気シリーズとなりました。
昭和44年から挿絵を担当した村上勉さんが「画業50周年」を記念して、この作品のイラストを新たに描き直し、平成27年10月から、新イラスト版として出版されることになりました。
この機会に、大人にも懐かしい物語を、ぜひ子どもたちにも伝えてあげてほしいものです。
また、平成26年には、佐藤さとるさん本人から「新しいコロボックル物語を書いてみないかい?」と直接呼びかけられて「書継ぐ」こととなった有川浩さんの「コロボックル絵物語」も刊行されています。
有川さんは、「佐藤さとるさんがいたから作家となった」というほど小さい時からコロボックル物語の大ファンだったのだそうです。
良い本との出会いが、子どもたちのその後の人生にも大きな影響を与えることを再認識できますね。
ちなみに、有川浩さんの作品「図書館戦争」の映画化に際しては、北九州市立中央図書館がロケ地となりました。
いま、その中央図書館に併設する「勝山分館」などをリノベーションして「北九州市立子ども図書館」とする計画が進められています。
今後、設計が行われ平成30年度中にオープンの予定です。ご期待ください。
(佐藤さとる・作、村上勉・絵、講談社刊)