中心市街地活性化へ、苦闘する山形市

会派の視察(年に1度)で山形市などに行ってきました。かつて戦国武将・最上義光が百万石の権勢を誇った山形市は、現在人口約25万5千人。豊かな自然環境と社会環境を調和させながら「環境先進都市」をめざしてがんばっておられます。
しかし東北の県都・山形市もご多聞に漏れずその中心市街地は空洞化が進み活性化の取り組みには苦闘を強いられているのが実情のようでした。

山形市内の代表的なデパートであった旧山形松阪屋が撤退して空きビルとなっていた跡地をそのまま地元の貸しビル事業者が購入。8階建てビルの4階以上を市や県、商工会議所が連携し公益的活用を図ったのが「ナナ・ビーンズ」でした。
利用形態は、4階が起業者支援施設「山形インキュベートプラザ」、5階が子育て支援施設「アーベ」(AIMの子育て支援プラザのような施設)、高齢者交流サロン、こけし展示室、6階が市民ギャラリー、7階が学習空間「mana-vi」、8階が県によるスポーツプラザ21になっていました。

それぞれは、現在、こうした施設内に設置が考えられる範囲のものでしたが、特徴的なのはこれが時限的なものである点でしょう。
このビルのオーナーはビル購入から10年で再開発を行うことを前提としているため入居者はいずれ撤退を余儀なくされることになります。再開発全体も、具体像がそれまでに固まれば結構なことですが、中心市街地の再活性化はそう簡単にはことが運びそうにもありません。
山形市としてはこれらの運営費として毎年1億5千万円程度を支出し、延べ人数で50万人の利用者がある「ナナ・ビーンズ」を今後どのように継続していくのか、中心市街地活性化の全体構想とからめて計画していくことが課題となっていくと思われました。

現在、国会ではまちづくり3法の改正が論議され、郊外型の大型ショッピングモールの出店を規制しようという動きがありますが、山形市ではすでに2万㎡を越える店を含めて大型店が立地していしまっているという現実があります。
その上で、中心市街地の魅力を高めながらどのように活性化させられるか、今後の取り組みを注目していきたいと思います。

山形市では、このほかJR駅前にある「山形テルサ」を見学しました。山形市と雇用・能力開発機構が共同設置した勤労者向けの総合福祉施設ですが、75億円の建物(うち開発機構分40億円)を、山形市は8千万円で買い受けたそうです。(同機構は、行革が迫られる中、全国の施設をこのように投げ売りしていますね。)
800席のホールをはじめ研修室など、駅前の利便性もあり使いやすい施設ではあるようですが、年間運営費は約3億円。うちテナント・利用料などで実質1億3千万円ほどが市の負担となっているようです。
財政運営の中で、これらをどう位置づけていくのかで「山形テルサ」が安い買い物だったか、高い買い物だったかが見えてくることになりそうです。
それにしても40億円が8千万円とはねえ!
写真はナナ・ビーンズ5階の「こけし展示施設」と、山形テルサのホール。

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