21日は北九州の生んだ天才女性俳人・杉田久女の命日。小倉北区の圓通寺境内で恒例の「久女忌」の行事が行われました。
主催者を代表して久女多佳子の会の柿本和夫会長が「昨年は、文学館で久女展が開催されるなど、久女にとって記念すべき年になりました。講演された高橋睦郎さんは久女を一葉・晶子とならぶ三大女性作家だと評し、久女は日本を代表する重要な存在としてよみがえってきました。皆様のおかげであると同時に、何よりも久女の作品の力によるものだと思います。これからも久女を顕彰し業績を後世にひきついでいきましょう。」とご挨拶。
久女のお孫さんである石太郎さんも「皆さんのこんなに暖かい雰囲気の中で久女忌が開かれることに感謝します。今後は、若い方にも久女をはじめ北九州の文化的資産が受け継がれていってほしいものです。」などと挨拶されました。
続いて、圓通寺の林久照住職の読経の中、参加者一人ひとり久女さんが好きだった白菊を献花しました。
北橋健治市長もかけつけて献花したあと「朝顔や…の句を詠んだ久女さんは、今の北九州を見たらどんな句を詠まれたでしょう。夫の宇内先生は旧小倉市で功労賞を受賞されていますが、名誉市民賞というのがあれば、久女さんは最もふさわしい人だと思います。門司の三宜楼を調査した時、久女が師と仰いだ虚子も遊んだときいて是非残そうと思いました。北九州には鴎外などゆかりの人々をしのぶ財産があり、これからも大切に受け継いで行きたいものです。」と挨拶しました。
この日は、久しぶりに穏やかな天候に恵まれ、参加者の方々は、関係者のご挨拶に拍手を送りつつ、暖かな境内の雰囲気を楽しんでおられたようでした。
昨年の久女展開催など「久女再評価」の動きが強まる中で、参加した私も、今年ほど暖かな雰囲気の中で行われた「久女忌」はなかったのではないかと感じました。ぜひこれからも杉田久女顕彰が進んでいくことを願わずにいられません。そこで…
久女忌や 風あたたかく 礎のうへ
東風吹いて 香煙ゆるる 読経かな