野田総理の「TTPへの参加に向けて各国と協議を開始する」とした態度は、まことに分かりにくいですね。慎重派の山田正彦元農水大臣は「ホッとした。これは参加表明ではない」といい、推進派は「参加するということだ」と理解するというのですから。
普通は「参加する」表明するものでしょう。受け取り次第でどうとでもとられる余りにも「官僚的な発言」と言うべきです。
もともと野田さんは「分かりやすい話をすることに定評」があったはず。こんな発言を繰り返してはいけないと私も思います。一体どうしたというのでしょう。
それにしてもなぜ総理は、たとえ関税を引き下げてもEU型の所得保障を行うつもりで農家への個別所得保障制度に踏み出したのだったと説明しないのでしょう。それを前提として民主党は農業政策の基本をたててきたのではなかったのでしょうか。
また、鳩山内閣の「東アジア共同体構想」とTPPはどのような整合性があるのでしょうか。中国や韓国との関係を展望して冷静に整理してきたのでしょうか。
野田内閣は菅内閣の「脱原発」を方針転換してしまったのではと疑われていますが、ここでも方針転換をしてしまったのでしょうか。
同じ政権で、首相が替わる毎に基本政策が変わってしまうと思われるのでは、困ります。
政権の基本姿勢について、トップからの発信がなく充分な説明がないまま、このように時が過ぎてゆくと、新政権に期待した国民のもやもや感が増幅し、またぞろライオンヘアの怪物がうろつきだしかねません。