切実な障害者の声は届いたか?

首相の所信表明演説に対する代表質問が衆議院で始まりました。質問にたった民主党の前原誠司新代表は「反対のための反対はしないが、政府・与党の間違った政策、問題先送り、看板倒れの改革に対しては厳しく対峙していく。主要な政策課題には、対案を提示して、真の改革を競い合いたい」と、民主党の基本姿勢を提示したそうです。期待したいですね。
 ところで今国会には郵政法案などと一所に、解散で廃案になっていたあの「障害者自立支援法案」が再提出されています。
 この問題については民主党は今日、鳩山由紀夫新幹事長が取り上げ、首相の考えを質しました。
鳩山氏は、「政府の『障害者自立支援法案』をめぐっては『障害者が生きていくために必要な支援サービスの費用について、障害が重くなるほど本人負担が重くなる内容になっている』と語り、負担の軽減対策も、家族との合算を前提としているために、障害を持つ人は家族に依存しなくては生きられない構造となっていることを問題視した。その上で鳩山幹事長は『理念がまるで世界の流れと逆行している』と厳しく批判し、そうした障害者自立支援法案を、何の修正もなく国会に再提出するのかを首相に質した。
 小泉首相は『障害がある方が自立して生活していく観点から十分な配慮をしている』などとする見解を示した。」そうです。(以上は民主党ホームページhttp://www.dpj.or.jp/より。よろしければご参照下さい)
 「ノーマライゼーションの理念に逆行している!生活が出来なくなる!」と同法案に反対してきた切実な障害者の声は、小泉首相や政府与党の皆さんにとどいたのでしょうか?

 障害者の生活実態を無視した法案

 同法案は「障害種別ごとに違っていた福祉サービスを統合し、サービス量に応じて1割の応益負担とする内容」です。
 2003年にスタートした支援費制度では、費用は収入に応じた「応能負担」であり、ホームヘルプなど在宅サービスが急増して財源が不足するという事態を招きました。そこで予算を削減したい国は、新制度では、「サービスの量で金額が決まる応益負担」を導入しようというのです。(最終的には2009年の介護保険制度に統合してしまおうとの狙いが透けて見えます。)
 多くの障害者が月額66,208円から82,758円の障害者基礎年金に頼っており、1割負担による生活への打撃は非常に大きいと言わねばなりません。
 たとえば、家族から離れて家賃を払いながら、わずかな収入でも自立して生きていこうとする重度の障害者の場合、生活を維持していくだけのサービス量に応じた負担を求められたら自立生活そのものが成り立たないのは明らかです。
 「私に死ねと言うこと?」と悲痛な声を上げられているこうした友人を私は知っています。決して大げさな話ではないのです。
 法案はこうした障害者の生活実態を全く無視しています。
 民主党は、同法案にも対案を示して闘うことを確認したと報じられています。是非良い対案を作ってほしいものです。注目してきたいと思っています。

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