さいたま市では、さいたま市の子ども読書推進活動計画と学校図書館資源共有ネットワーク推進事業について説明を受けました。
さいたま市の子ども読書推進活動について
さいたま市子ども読書推進活動計画は平成18年3月に策定された5年計画である。
同計画では、「さいたま市は不読者ゼロをめざします」として、小中学生の不読者率(平成17年度で小学生7.9%、中学生25.2%)を平成22年度までにそれぞれ0%とする数値目標を掲げているのが特徴である。
その実現のため、特に学校図書館を活用した読書活動を充実する目的で「学校図書館資源共有ネットワーク推移事業」が進められている。
その特徴は「さいたま市のこどもたちは日本で一番本が好き」の実現をめざして、全小中学校158校に学校図書館司書を配置すること、学校図書館用コンピュータを整備すること、資源共有ネットワーク便の運航を拡大すること、学校図書館支援センター及び市立図書館と学校との連携を促進することを主な内容としている。
平成19年度には、全学校への司書配置とコンピュータ整備が完了したほか、151校に司書教諭発令が完了、学校図書館への市立図書館の協力も拡大している。
特に学校図書館支援センターは市立北浦和図書館の一部に学校図書館支援用の専用書架を設置し、総合的学習の時間や教科学習などで学校著館を活用する際の団体貸し出し図書資料を整備し、週上下2便のネットワーク便で共有活用する事業として注目される。
学校図書館が、読書活動センター機能と共に学習センターとして機能するためにはこうした資源活用策の充実が不可欠だと思われる。
ご案内いただいた教育委員会の先生から「こうした活動の異結果、さいたま市では学力も向上しており、特に読書力が必要とされる学力テストの国語Bについては政令市でもトップクラスだと自負しています」とお聞きしたのが印象的であった。
その後、さいたま市立大谷場小中学校を訪問し、学校図書館活動の実際を見学させていただいた。
同小中学校はJR南浦和駅に近い中規模校で、平成13年に小中一体型の新校舎となった。
同校の学校図書館は、小中共用で教室6教室分とすばらしく広く、小中それぞれ一人で2名の司書が配置されているため、毎日どちらかの司書が常駐することで、図書館利用率も大幅に増加している。
コピー機やパソコンなども設置され、図書の貸し出し等はバーコードで管理されている。中学校の生徒達は、生徒手帳に貼り付けたバーコードをかざすだけで、手続きができる。履歴も管理できるため、生徒自身はもとより、読書活動の全体像もつかむことができ、その充実のための資料として活用されている。共用のため蔵書も圧倒的に多い。
生徒の図書委員会の活動では、各学級から男女1名計30名が毎日昼休みと放課後に貸し出し当番を分担。ポスターの作成や読書活動への呼びかけなど自主活動を行い、多い費には昼休みだけでも200人以上の入館者があるとのことであった。
特に小学生に比べて読書量の落ちる中学生の図書館利用について、平成18年度の貸し出し総数9263冊、一人あたり16.7冊平均の貸し出し実績は注目される。同校の報告では、図書館整備がなされた平成14年度以降は、それ以前に比べて貸し出し実績が2.5倍にも伸びている。
同校望月校長先生のお話では、読書量を上げるため「1万ページ読破」目標を掲げて取り組んだところ、次々に読破する子ども達が出てきて嬉しい悲鳴を上げているとのことであった。
また、司書職員さんからは、小中一体で2名の司書配置をはじめ、小学生に中学生が読み聞かせをして上げたり、中学生が絵本に親しんだりなど一体型図書館のメリットは大きいことなどのご報告があった。
司書職員の身分については、ここでもやはり嘱託であり給与は年間200万円強であったが、雇い留めの制度はないとのことであった。司書の情報交換や研修に充実など、三鷹市と同様、身分保障と職務の質を向上させる取り組みが今後の課題であると思われた。