クラスター対策班の暫定報告で質疑。市議会保健福祉委員会

開会中の北九州市議会では6月16日、補正予算案の採決等が行われた後、新型コロナウイルス感染症への対応状況について、北九州市に派遣されて感染状況の調査を進めている厚生労働省クラスター対策班からの暫定報告の概要も含めて当局からの報告が行われました。

これに対する質疑応答の中で、私が知りたかったのはおよそ3点。
まず、北九州市で一体何が起きているのか、でした。

この点について、クラスター対策班からは、「考察」として、「市内全域で同時多発的に散発例が探知された。顕在化しない探知不能な感染伝播が起こっていた可能性がある。市内複数施設において、無症状者や軽症者が多かったため、施設における感染伝播が探知されなかった」などと報告されましたが、なぜ北九州市でこうした新型コロナウイルスの感染が起きているのかについての明確な分析結果は示されませんでした。
市保健福祉局の担当者からは、国立感染症研究所に86人分の検体を送付して、ウイルスのゲノム解析を依頼しており、4月分の解析結果では、ウイルスは大都市由来であることが分かったものの、第二波の5月分についてはウイルス量が少なく解析が不能であったことも報告されました。
引き続き解析を依頼していくということですので、今後の解析結果を待ちたいと思います。

第二に私が知りたかったのは、本市の感染第二波で、これまでも十分に注意を払っていたはずの医療機関や福祉施設・学校で、なぜ、ほぼ同時に複数のクラスターが発生したのかという点でした。それぞれにはクラスターを許す何らかの問題があったのだろうか。

この点について、クラスター対策班の報告では、直接的な原因に具体的に言及されませんでしたが、医療機関については「新型コロナウイルス感染症が疑われない状況下で患者から職員、職員から患者への電波が起こった」、また福祉施設については「介護度が高く寝たきりの入所者の陽性者がいることから、職員による媒介の可能性がある」とされました。
また、学校については「学校の対策については、改善可能な部分があった」との記述にとどまりましたが、この「改善可能な部分」について質問すると、クラスター対策班からは「子どもたちの触れ合う機会だとか、机と机の間隔の確保など見直し事項がある」などの意見があったものとのことでした。
学校については、これとは別にクラスター対策班から報告された「守恒小学校における所見」では、着席した児童が、おしゃべりなどの際、近くなっていた可能性があることや、仲が良く一緒に遊んだり、下校中などで接触の機会が確認されたとされたものの、これらの感染機会を完全に排除するのは難しく「排除可能なリスクは排除したうえで、教育や日常の交流機会を失うことのないようにする。」との方向性が示されました。
この日のクラスター対策班の報告の中では、医療機関、福祉施設、学校それぞれについて集団感染を防止するための提言も示されておりますので、今後の着実な実行が求められます。

第三に私が知りたかったことは、本市のPCR検査について、5月23日からの第二波については濃厚接触者全員のPCR検査を実施し、そのことは全国的にも前向きに評価されているのですが、今後の検査体制をどのように拡充するのかという点でした。

今後もし学校等で集団感染事例が発生したとき、再度全面休校とするのかという問題が起こります。休校しないとすると、今度は保護者が怖くて児童生徒を登校させないなどが起きても困ります。
そこで私たちは、まず感染者が発生した学校からでも、濃厚接触者に限らず、教職員、保護者など、幅広いPCR検査を実施して、保護者児童生徒の感染の有無と安心を得て速やかに学校を継続していくことが必要なのではないかと考えました。
こうした問題意識をベースに、今後のPCR検査体制のあり方を当局に問いましたが、保健福祉局長は「本市のPCR検査体制は、あくまで重症者や死亡者を極力少なくするための医療をめざして拡充を進めている。
市民の安心のための検査とするには、PCR検査の精度などの課題もあるのではないか。
なので、当面は、医療機関へのPCR検査機器の整備などを進めながら、感染防護を集団の中でも取っていただきながら重症化を引き起こすものがあった場合には速やかに医療につなげていくという今の検査のやり方が良いのではないか」と答弁されました。

私も、市内の感染状況が落ち着きを見せ(6月16日も新規感染者は一人でした。)ている現状が、今後もゆっくりと続いていくのならば、現場での医療崩壊にはつながらず大丈夫だろうとは思います。
しかし、もし今後、感染が大きく広がっていくような状態になった時、学校や市民生活を再び長期間にわたって停止させることが適当なのだろうか。
秋冬には第二波(第三波?)がやってくるのではないかと言われています。それまでの短い期間に、PCR検査や抗原検査などの技術革新や、治療薬の開発などの推移も見極めながら、感染予防の徹底と、学校や市民生活の継続がと両立する仕組みを見据えて、可能な取り組みを探ることが必要なのではないかと考えています。

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