「大胆な子育て支援」まだ見えないまま-市議会の論議をふりかえる

武内和久市長の当選後、初めての市議会となった北九州市議会3月定例会は、6月本予算までの暫定予算案のほか、市長の給与10%カット、副市長の給与5%カットの議案、新たな二人の副市長の選任議案などを、賛成多数で可決して、3月23日に閉会しました。

この議会では、武内市長が市長選挙で公約した事項について、様々に議論されました。
これらのうち、私がまず注目したのは「大胆な子育て支援」の内容についてです。
武内市長は本会議の答弁で改めて「国を待たずに地方から少子化対策を実施するために、未来への投資として、大胆な子育て支援に取り組みたい」とし「具体的には、保育料の第2子以降についての完全無償化、病児保育の利用料の完全無償化、学校給食の品質の向上」を公約で掲げたと述べました。

私たちの会派ハートフル北九州の森本由美議員は、すでに福岡県と並んで実施を予定している病児保育利用料無償化を除く、他の二項目について「市長ご自身の試算でも、第二子以降の保育無料化に約8.6億円、学校給食品質向上に3.1億円がかかるとされ、直ちに実施するとされていたが、必要な多額の予算をどう確保するのか」と考えをただしたのですが、武内市長の答弁は、
「実施にあたっては、持続可能で安定的な制度とするために、恒久的な財源を確保する必要がある。
このため、官民合同チームの立ち上げと運営に係る経費を暫定予算に計上させていただき、行財政改革の推進による財源の確保に取り組むこととした。今後は、官民合同チームにおける検討状況を踏まえ、北九州市全市を挙げて、政策の推進に必要となる財源の確保に向け、スピード感を持って行財政改革に取り組みたい。
その検討の中で、財源がどれくらい確保できるのか、これを見極めつつ、可能なものから、できるだけ速やかに見直しを実施できるよう、鋭意、検討を進めてまいりたい。」というものでした。
つまり、行財政改革に向けた新設の官民合同チームで、財源確保を見極めつつできるだけ速やかに実施するというばかり、実施時期も手法も具体策が示されないままとなりました。

また、武内市長候補が選挙中に新聞等に掲載された「公約」で「停滞から成長へ、人口回復へ次世代づくりに投資-3歳未満の保育無償化」と掲げられていた点については、掲載時から私も注目していたのですが、森本議員の質問に対しては、
「ご質問の、選挙期間中に一部メディアに『公約』として掲載をされた『3歳未満の保育無償化』については、アンケート調査の回答が不正確な表現になってしまったことは、お詫び申し上げます。今後、このようなことが無いよう、教訓にしたいと思います。
改めまして、私の本来の公約は『保育料の第2子以降の完全無償化』でございます。」(ママ)と、あっさりと撤回されてしまいました。
一体これは何だったのでしょう。折を見て改めておたずねしてみたいと思っています。

以上のように、武内市長の「大胆な子育て支援」公約については、現時点では、具体的な実施内容も時期も財源も示されないまま、先送りとなってしまいました。
もちろんまだ暫定予算の段階ですので、今後、6月の本予算での計上の有無や、「官民合同チーム」の検討の推移等を見守りながら、私たちもさらに議論し解明していきたいと思っています。

 

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