徹底的な捜査を 平松不正事件

かつての漁村のなごりを残していた小倉北区平松地区。家が密集し迷路のような不思議な空間でした。私は決してこの雰囲気を嫌いではありませんでしたが、防災上は多くの問題があり、また建物も老朽化がすすんで地区全体の再開発が進められました。

この住環境整備事業にからんで、立ち退き費用名目で市費百数十万円をだまし取ったとして、福岡県警が建築都市局の元主幹と地区の住民1人を逮捕しました。
示し合わせて補償費を架空請求し、裏金をつくって1000万円を余分にだまし取ったと見られています。あってはならないことです。

立ち退きを伴う事業が大変困難なのは確かです。ねばり強い交渉と、時には不当な要求にも立ち向かわなければならないことになります。同地区の場合、一部にかなり不当な要求があり、声が大きいものに巻かれることがあってはならないとの心配の声も聞かれていました。

市職員はこうした大きな声に応えるかたちで不正を働いたと見られています。市内部には「市のマシンとして働いただけだ。私腹をこやした訳ではないのにかわいそうだ」として、容疑者に同情する声も聞こえてきます。
一体、平松で何が起きていたのか。住民や行政の誰がからんでどのように公金を食い物にしたのか。
今回の市職員と住民の逮捕は極めて残念なことですが、この際、司直による事件全容の徹底的な捜査と解明を望みたいと思います。

それにしても先日の贈収賄事件といい、最近たてつづけに市役所に捜査の手が入るのは近年になかったこと。市の綱紀全体がゆるんでいるのではないかと市民から不信をかこつことになりかねませんね。幹部以下、身を正す努力をしっかりしてほしいものです。

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