良いものを発展させるために歴史学ぶ

秋の日曜日は市内でもいろいろな行事があり、どれも参加したいものばかり。でも今日はそれらを失礼して佐賀市にうかがいました。

先日の大学同窓会で講演をいただいた広岡守穂先生が館長である佐賀県女性と生涯学習財団・アバンセで、同窓会佐賀支部主催の公開講演会『中国から見た日本』が開かれたのです。北九州の先輩方と「是非行きます」と約束してしまったこともありましたし、何よりテーマにひかれました。

講師は中央大学法学部教授の李廷江先生。(瀋陽出身の方だそうです。)

近現代中日関係史を専攻されている先生は「私たちはなぜ歴史を学ぶのか。お互いに憎しみを覚えるために勉強するのではない。良いものを発展させるために歴史を学ぶのではないだろうか」と歴史、とりわけ政治的関係が悪化している日中の間の歴史を学ぶ意義を強調されました。

そして1985年からの百年の日中関係史をざっと振り返り、日本の戦争は中国革命を生まれさせる助産婦役だったこと。中国にとっての日本は、過去に2度中国の近代化のモデルとして好意的に見られた時期があったこと。現在の日中は、特に経済的に切っても切れない関係にあり、難関と苦悩を乗り越えて信頼合作の関係を構築するべき時だと訴えられました。

最後には「今はとても大切な時期にある。心配もしています。中国と日本は一衣帯水、他の国との関係とはやはり違う特別な関係なのです。お互い何のために人間が生きるのか考え、新しい人と人、心と心の交流をめざそう。」と締めくくられました。

質問の時間になると、白髪の小父さんが手をあげて「あんたの国はけしからん」などと述べ始めました。広岡館長が「終了の時間もあるので、別の機会で話しましょう」と言うのに納得しない様子。李先生は、憤ることもなく「あなたのおっしゃることも理解できる。むしろ率直にお話いただいたことに感謝したい。でもお互い相手を思いやることも必要ではないか。相手の言い分も聞きながら、率直な話し合いこそ必要なのだと思います。」と対応されました。

中国の一部政治家に見られるような言葉を振りかざして演説するといった調子では全くなく、淡々と言葉を選んでお話になる李先生の講演に私は大いに共感し、佐賀まできて良かったなあと思いました。

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