震災リスクと企業誘致

市議会の本会議がはじまりました。わが会派のトップバッターは三宅まゆみ議員。北橋市長の1期目最期の年度となる平成22年度の決算議案などについて、議論を展開しました。

その中で、東日本大震災を受けて北九州市でも見直しが進められている地域防災計画について、三宅議員は「3.11の震災以降、私たちはこれまでの先入観を捨てて、改めて震災対策を根本的に見直さなければならなくなったのではないでしょうか。」と指摘しました。

実は、北九州地域はこれまで目立った被害のでた地震がほとんどなく、市域の日本走っている活断層も活動周期がながいことや、東日本大震災のようなプレート型地震をからも遠く離れているため、震災のリスクが非常に少ない地域であると信じられてきました。市も震災リスクの少なさを強調して、企業誘致を進めようと新たにパンフレットを作成して頒布しているほどです。

そこで、今回の質疑前の会派での検討の際、議員仲間からは「これまで震災が少なく企業誘致の利点だとしてきたのに、大規模な震災や津波を想定して防災対策をというのでは矛盾するのではないか」という疑問がだされました。気持ちは分かりますね。

科学的な知見とは何か、地震のリスクとはなにか、我々もさらに勉強していこうとなったのですが、私は「震災リスクの低さを指摘することと、万一の防災対策を進めることとは矛盾するものではない」と思います。

文部科学省地震調査研究推進本部のサイト「地震ハザードステーション」

http://www.j-shis.bosai.go.jp/

では、全国各地の地震発生の確率をかなり詳しいマップで公表していますが、それをみても北九州エリアがかなりリスクの低い地域であることは一目瞭然です。しかし一方で、例えば震度6弱の地震が「絶対にないとは言えない」というのも科学的事実というべきでしょう。

私たちは「北九州地域の地震発生リスクは高くないと判断するが、それでも万一のことを想定して、市民の生命を守る震災(津波も含めて)対策を進めて行こう」というのが、とるべき態度なのではないか。

企業誘致についても「リスクは低いが、万一のことにもしっかりと対応できる防災対策や防災教育をすすめている」と説明した方が、結果としてはより信頼感が得られるのではないでしょうか。

群馬大学の片田先生を座長に、地域防災計画の見直し論議ははじまりました。我々もその論議経過を注視しながら、防災対策の強化にむけて進んでいきたいと考えています。

 

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