中国は軍事的脅威か? 前原演説について

訪中している民主党の前原誠司代表が中国北京の外交学院で講演した内容について、国内のメディアは『前原代表「中国は軍事的脅威」…北京で講演』などとする報道を行っています。
いわく、 前原氏は中国の軍事力について、「17年連続して毎年10%以上国防予算を増やし、増強・近代化を進めている。特に空軍力、海軍力、ミサイル能力を中心として飛躍的に向上していることに対し、率直に脅威を感じている」(読売新聞)と述べ、懸念を示したというものです。中国首脳はこれに不快感を示したと、これによって日中関係がさらに悪化しそうな記事になっています。(訪中前の訪米では「野党だから相手にされない」かのような報道がされていたことにも注目しておくべきでしょう。)

はたして前原代表はこうした趣旨で「中国の軍事的脅威」を指摘して非難したのでしょうか?詳しくは、いずれ前原代表から私も直接お話を聞きたいと思いますが、実は前原代表が用意していた原稿は以下の通りです。(一部分であり、詳しくは民主党ウェブサイトでご覧下さい)

「(略)中国を軍事的な脅威であると見なす声が増えています。他方で、中国では日本の軍事力や日米同盟に対する不安が存在しているという声も耳にします。いたずらに軍拡競争に陥らないためにも、軍事の透明性を高めたり、自衛隊と人民解放軍の制服同士の交流をさらに活発化させるなど、政治的な意思疎通を緊密に行い、日中間の信頼醸成に向けた具体的ステップを積み重ねていく必要があります。」として「日中両国が「相互互恵」「共存共栄」の観点に基づき、包括的かつ戦略的に議論することが必要不可欠だと考えています。」というものです。
首相が靖国神社参拝を行うべきではないとしつつ、日中関係改善を強く願いながら、双方が共同して課題に取り組む考え方について具体的な提案をする内容となっています。つまり、「軍事的脅威だ」と決めつけて中国を一方的に非難しているわけでは決してないのです。
その意味では、日本のメディアの報道は興味本位で歪められているのではないでしょうか?
これが意図的な記事でないことを願いたいものです。

 誤解をされないようにしてほしい。

ただ「メディアというのはそんなものさ」という声もきこえてきそうです。発言者の意図とは多少異なった報道はありがちなもの。そんな時に、真意を伝える努力が前原代表や民主党にも求められるのでしょう。
前原代表が労組との関係についての発言で誤解をされ、就任直後から真意を説明するのに苦労されたたように、不用意な発言は誤解を招くことになります。
まして、対中国外交あるいは防衛問題という極めて敏感な問題については、しっかりと真意を説明しつつ事にあたる必要があると思います。

個人的に言わせていただければ、前原さんの安保防衛問題(憲法問題も)については、自衛隊を含む軍の暴走を防ぐための手だて(シビリアンコントロール)についての言及が少なすぎる。まずは戦争をさせない、海外でのPKF発動時でも軍事的展開を厳しく抑制することについて、国民に分かりやすい仕組みを提案する必要があると感じています。
われわれが戦争抑止勢力であることが明確に意識されてこそ、軍事力たる自衛隊の認知や海外での軍事的行動の容認についての議論が正しくなされるのではないか、こうした議論は、本来地方議員の分を超える課題ですが、1民主党員として機会があるごとに議論していきたいと思っています。

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