「放浪記」などでよく知られる門司生まれの作家・林芙美子を記念する文学賞として北九州市が創設した「林芙美子文学賞」の、記念すべき第一回選考結果が発表されました。
この賞の選考委員は、それぞれ直木賞・芥川賞受賞者の作家、井上荒野・角田光代・川上未央子の三氏。
選考の結果、大賞は東京都在住の井岡道子さんの「次の人」が受賞。井岡さんには副賞賞金100万円が贈られるほか、3月24日発売の「婦人公論」に作品が掲載されます。
表彰式は2月28日(土)の午前11時から旧門司三井倶楽部で行われます。当日は、同施設内にある「林芙美子記念室」がリニューアルオープンするほか、午後2時からは門司港レトロ地区の旧大連航路上屋で、選考委員三氏による林芙美子文学賞記念トークも開催されます。(世良俊明のフェイスブックもご参照ください。)
大賞を受賞した井岡さんは64歳のグラフィックデザイナー。2004年から執筆をはじめ、2007年第15回「父のグッド・バイ」でやまなし文学賞を受賞されています。
作品は、主人公の女性が四国の山村で暮らす祖母のもとを訪れている時、隣人の高齢者が急死。大晦日の葬儀など山村の特異な風習を経験しながら、生と死を見つめる時間を過ごすというもの。
井岡さんは「林芙美子にちなんだ文学賞であり、選考委員の三氏が魅力的。人材育成の方針にも挑戦したいと思った」と応募の動機を述べておられます。
選考委員各市のコメントは以下の通り。
井上荒野氏「田舎の風習の描き方など描写力がすばらしい。出来が良すぎ、まとまりすぎているのが難というくらい」
角田光代氏「全作品の中でバランスが一番良かった。少し気持ちの悪い田舎の風習が伸びやかな筆致で描かれていて好ましい。」
川上未央子氏「完成度が頭抜けていた。エピソードのバランスが良く、文章の抑制が効いている」
(何しろ、私自身もまだ読むことができませんので、受賞作品の評価ができません。婦人公論をぜひ購入したいと思います。作品を読むのが楽しみです。)