選挙真っ最中の長崎市で、昨日伊藤市長が暴力団員に銃撃され、今日死亡するという事件が起きました。現在のところ思想的背景を持つ政治的テロではない模様ですが、暴力団幹部が選挙中の候補者を背後からねらい撃つという極めて卑劣な事件であり、民主主義を冒涜する行為は断じて許されるものではありません。背後関係も含め徹底的な捜査と事件の解明が求められます。
長崎市ではかつて本島市長が銃撃されるテロ事件がおきています。その本島元市長は「被爆地・長崎が訴える核兵器廃絶の基本は人を殺さない、いかなる暴力も許さないということ。なのに2代続けて、その市長が撃たれるのは異常だし、不名誉なことだ。背後に暴力を容認する風潮があるのであれば本当に恐ろしいことだ。」(毎日新聞)と述べたと報道されています。そのとおりだと思います。
北九州市は長崎原爆の第一投下目標であった準被爆地であり、8月9日に行われる原爆慰霊祭には伊藤長崎市長から核のない世界を願うメッセージが毎年寄せられてきました。何よりも命を大切にする社会は、こうした暴力を許さない社会でもあることを、我々はこの際しっかりと心しなければならないのではないかと思います。伊藤市長のご冥福をお祈りするとともに、二度とこのような事件がおきないよう願わずにはおられませんでした。
ところで報道記事を読んで気になっていたのが安倍首相のコメント。どの新聞を見ても「厳正な捜査」とか「真相の究明」という言葉しか見えなかったことです。一国の首相としては、まず「いかなるテロも断じて許さない」との強い決意を示すことが何より必要だったのではないか。非常に違和感のあるコメントでしたね。一体これは安倍首相のどういう政治姿勢を現しているのでしょう。