3月5日の北九州市議会本会議で一般質疑を行いました。取り上げたテーマは6項目ですが、そのやりとりを要約して順次ご報告します。まずは市立病院問題からです。
<世良質疑>
昨年の決算の9月議会の決算特別委員会で平成17年度の約6億円黒字決算から一転して約7億2千万円もの赤字となってしまった18年度病院事業決算について、なぜこれほどまでに収益が悪化したのか。
病院当局からは収益悪化の原因は診療報酬改定の影響等による外部的な不可抗力によるような答弁が続いた。19年度から22年度を対象に経営改善を目指す中期経営計画を現在策定中であると答弁をされ、北九州市病院事業経営改革プランが出された。
しかしその経営改革プランは私達をさらに失望させた。プランでは、病院経営悪化の理由を効果的な治療が平均在院日数が短縮したことで、入院収益が大幅減となったためだとし、しかも報酬影響悪化は、一時的な現象ではないなどと記述をし、結局のところ、経営改善計画の基本方向は、指定管理者制度による門司病院の切り離しと、残る3病院のベット数の削減による病床利用率の向上を目指すという誠に短絡的なものとしか思えなかったからだ。門司病院の受託指定管理者の見通しの見えない中、若松病院は地域ニーズをくみ取れば経営改善の余地があるなどという根拠に乏しい楽観論が展開されるなど、その多くは経営改革のプランというよりも希望的観測というべき内容と指摘せざるをえない。
平成17年度から18年度にかけて、病院事業収支が急激な悪化をきたした真の原因はなにか、収益悪化の真の原因を分析解明し、それを具体的に解決し、経営改善と収益増につなげる対策こそが今求められているのではないか。医療環境の悪化など外部要因のみを問題とし、本市病院群の内部で今、起こっている問題を解析をする努力を怠るならば、今後どのような改革案を示しても市立病院群の危機は続くことになる。
北橋市長も心を砕いて取り組んでこられた周産期医療や小児医療の充実をはじめ、今後の安心の医療体制の整備も病院経営が破綻すればはじめから成り立たない。
そこでお尋ねする。平成17年度から18年度にかけての病院事業の急激な経営悪化の原因分析を当局はどのように行われ、その結果、どこをどのように改善すれば経営状況が改善できると考えられたのか。経営改善策の検討計画を22年度目標数値実現に向けたプランの根拠を具体的に示されたい。
また、大学医局の常勤医師引き揚げに伴って今後の入院患者の転院と6月からの入院診療の停止を余儀なくされたことで、若松病院ではすでに来年度からプランどおりの収益を上げることが難しくなった。経営改革プランとは別に、外部の専門家なども加えて経営状況を改めて分析した上で、川崎市など大幅に改善した他の公立病院の手法を学び、事業管理者を医師とするなど管理体制の見直しや、経営指標の設定のほか、医師等の待遇の見直し、市民サービスの充実など具体的で現実的効果的なアクションプランを病院ごとに緊急に策定すべきと考えるが、ご見解をお伺いする。
<北橋市長答弁>
市立病院の事業は非常に厳しい経営状況にある。一方で、小児救急や周産期医療など、地域に欠くことのできない重要な役割を担っている。誠に数少ない医師スタッフのまさに献身的な努力によって、なんとか維持されているのが実態だ。早急に対策を講じる必要があると、大きな危機感を抱いている。
今回策定した経営改革プランは、急激な収支悪化に対応するために、早急に取組むべき当面の改善策を主眼にまとめたものだが、今後における医師確保の状況や、その間の収支状況あるいは将来見込み等を把握のうえ、世良議員ご指摘の点も十分踏まえてプランの見直しも考えねばならないと認識をしている。
質問の中で、経営改革プランとは別に外部の専門家などを加えた経営状況を改めて分析してはどうか、川崎市などの手法を学んではどうか、などの議員からのご指摘は、貴重な示唆にとんだご指摘だと感じている。基本的にはカスタマー、患者の視点に立って解決策を考えることだと思っている。
<病院局長答弁>
市立病院の経営悪化について責任放棄ではないかとのご指摘があったが、今の病院の収益体制がどういうながれになっているのかをつかまないと、今後の対策は見つからない。平成18年度は入院収益が大幅に落ちている。実は入院した実際の患者さんというのは変わっていない。入院日数が短縮されたことにより空きベットができ空床ベットに、新たな患者さんを受け入ることができなかった。もう一つは、やはり医師不足がありまして、ニーズの高い診療科に医師を強化できなかったという点が反省しなければならない。
また、同じ治療をやりながら4万円約5%さがってるということは、診療報酬が大幅に引き下げられたという、この影響が大きいということは避けられない。
平成22年度の目標数値の設定については、それぞれの病院の取り巻く状況等を踏まえて、それぞれ大まかに方向を定めている。医療センターは、がん診療連携拠点病院として、がん診療の機能強化を考えています。入院待ちもあり的確なベットコントロールをやってなんとか病床利用率を上げていこうと考えている。八幡病院は、小児の療養環境をもっと強化していく。若松病院につきましては、地域のニーズが高うございますので、私共も維持をしていく。亜急性期病床を導入した。午後の診療もしていく。このような取り組みの効果を見込んで数値目標を定めた。
目標数値の実現には、必要な医師の確保に大きく左右される。医師確保は、診療機能や収益に直結する病院経営の根本にかかわる問題であり、何をおいても最優先で努力していく。