4月25日に「北九州響灘洋上ウインドファーム建設工事」の起工式が行われましたので、私も出かけました。
この事業は、北九州市若松沖の響灘に9.6MWの大型風車25基を設置し、最大22万kWを発電、約17万世帯分の電力をまかなうことのできる国内最大級の洋上風力発電を実現するほか、関連産業の拠点として整備するものです。事業主体は、九電未来エナジー㈱他5社で構成する「ひびきウインドエナジー㈱」で、総事業費は1700億円に上るとされています。
世界の環境首都を標榜する北九州市が10年以上前から、構想・計画して実施してきたもので、市では2050年ゼロカーボンシティ実現を目指す「グリーン成長戦略」の重要な柱として、その成功を目指しています。
私も8年ほどまえから、この事業の意義を確認して、その成功に少しでも貢献したいと、市議会でも議論を続けてきました。
いよいよ来月から本格的な建設工事がはじまります。
起工式神事後の式典では、事業主体のひびきウインドエナジー・水町豊社長が「洋上風力発電事業と、関連産業の集積がある北九州の強みを生かし、地域と歩むウインドファームとして進んで行きたい。」と決意を表明されたほか「ここに至るまでには、3つの大きな課題があった」として「1.国内風車メーカーの撤退、2.風車の設計等で苦労の末、ジャケット方式を実現。これは日本モデルとして大きな財産となった。3.ロシアのウクライナ侵攻などによる物価高・円安に見舞われた、などを、何とか乗り超えてきた」と報告されたのが印象的でした。
日本の洋上風力発電事業の成否は、今重要な局面に差し掛かっているものと考えます。
私も市議会で議論してきましたが、国内風車メーカーが撤退して、製造拠点がない中で、べスタスなど海外主要メーカーが生産拠点を日本国内に置くことを促進する働きかけが必要です。
そのためには、国が率先して、洋上風力発電事業の大規模な推進を表明して取り組む必要がありますが、現状では規模が小さすぎます。
また、基地港湾の整備や、一般海域での事業着手へのスピード感を持った支援が不可欠だと感じています。
あのコンテナ基地やハブ空港整備で、日本が後れをとった失敗を繰り返してはならないのではないでしょうか。国の積極的な取組みに期待したいと思っています。
式典では、武内市長のほか、九州電力の池辺社長、電源開発の渡部社長、五洋建設・清水社長、そしてべスタス・ジャパンの栗山社長もご挨拶。事業者の代表からは、それぞれカーボンニュートラルに貢献する事業への期待や、施工に係る報告など、興味深いお話を伺うことができました。
なかでも、風車基礎・海洋工事を担当する五洋建設・清水社長からは、今後、最大級の1600トン吊りSEP船など3隻のSEP船が響灘を母港として活躍してくこと、また事務所もゼロカーボンを目指したことなど、頼もしいご報告がありました。
海水面からの高さが200メートルにもなる巨大風車25基は、2024年度中にも響灘海域に設置がはじまり、2025年度中にも運転が開始される予定となっています。