開会中の北九州市議会は、議員の6割にもあたる34人が登壇した本会議が終了して、9月16日からは、平成元年度の決算特別委員会が開会。三つの分科会に分かれて審議が行われています。
私が所属するのは、第二分科会。初日は教育委員会所管分の審議でした。
分科会の決算審議で、私が着目して質問したのは、平成元年度の子ども読書活動の総括と、長期欠席・不登校児童生徒に焦点を当てた支援策についての2点でした。
このうち長期欠席児童生徒への支援については、北九州市教育委員会では、平成元年度、1000人あたりの長期欠席児童生徒数が全国を上回って増加傾向にあり「依然として深刻な状況にある」と総括されていました。
現在、教育委員会では「不登校等に関する総合的な検討に関する有識者会議」が設置して論議が進められているのですが、概観する限りでは「総合的な不登校対策」については言及されえているものの、「長期間にわたる欠席児童生徒」が抱える問題の解決という点に焦点を当てた議論は進んでいないように見受けられました。
そこで、この日の分科会審議では、今後の不登校対策等の方向性を検討するにあたっては、学校とのつながりが一定確保され、学習の進行に対する遅れも深刻ではない「不登校の子どもたち」と、年間90日以上欠席から全日欠席までの「長期にわたって不登校状態にある子どもたち」への支援は区別して対応したほうが良いのではないかとの意見を述べ、支援の強化を要望しました。
平成元年度の北九州市の不登校児童生徒数は小中合わせて949人。うち90日以上欠席の子は590人となっています。またそのうち出席が10日以下の子も57人と報告されています。
義務教育の期間中、授業の半分以上、場合によってはほぼ全日欠席が長期にわたって続いた場合、その生徒は、中学校を卒業しても、社会に適応できず、取り残される恐れはないのか、強く懸念されます。
今年、令和2年3月の、本市の中学卒業生7510人のうち、就職も進学もしていない生徒は85人と報告されています。
長期間不登校状態にあった生徒も、これらの中に含まれているのではないかと推測しています。
彼らは社会に適応して自立し生活していける状態にあるのだろうか、とても心配です。
本分科会では時間の制約で、それ以上の踏み込んだ意見交換はできませんでしたが、彼らの支援のための具体的な仕組みの一つは、子ども家庭局により、今年度からスタートしている「不登校状態の子どもに寄り添った次ぎの一歩応援事業」だと私は考えています。
多忙な学校現場の先生方に負担を負わせず、教育委員会と連携しつつも、教育委員会とは別の支援業として、NPOと連携した個別の生徒本人や家庭も含めたアウトリーチ型支援で、在学中の中学生50人程度を対象に、すでに一定の成果を上げ始めています。
この制度を量的質的に拡充しつつ、実効性のある長期不登校児童生徒への支援策に育てることができると考えています。この点は、別途、改めて議論していきます。
また、長期欠席児童生徒については、病気による欠席と不登校などの理由別の区分があり、この現状を見ると、北九州市の「病気欠席」が他都市と比べても有意に多いという実態があり、この点を私はこれまでも指摘してきました。
病気によるものと不登校とは、例えば保護者の申告などによるため、かなり主観的な判断となり、実は区分は難しく、あいまいな点があります。
しかし、他都市に比べても突出して多い「病気」による欠席の実態を見落としてしまうと、本市の不登校の実態が正確に把握できない恐れがあります。
今回は、改めてこの点を問題提起して、留意を促すこととしました。