この時期、市議会常任委員会の行政視察がはいります。私たち保健病院常任委員会も今日から富山市へ。まず障害児者や認知症の高齢者、幼児まで種別を超えてデイサービスを提供して大きな反響を呼んでいる「富山型デイサービス」の現場を視察しました。 看護師さんらが設立した「デイケアハウスこのゆびとーまれ」が第一号、有名ですね。その後「富山型デイサービス推進特区」認定を受け、現在では市内で34カ所の富山型デイケアハウスが誕生、デイサービスは年間のべ8,700回余りの利用がなされているとのことでした。
先に説明を受けた富山市担当者のお話では富山型デイサービスのメリットとして「利用できる施設が増えて選択の幅が広がること」「施設の有効活用をはかることが出来る」というものの、種別を超えたサービスの提供については「互いに良い影響を受ける可能性がある」という範囲にとどまったのが気になりました。
確かに、障害者にとっては遠い郊外にある施設のデイに通うよりも、近くの高齢施設のデイに通うほうが便利であり、利用の幅は広がります。実態としては、高齢のデイに障害者や児童の一部利用がのっかているというのが近いのではないかという気がしました。
しかし、その後うかがったNPO法人にぎやかの運営する富山型デイサービスの心意気は違いました。
応対をしてくださった同法人の阪井代表はとても元気な若いお母さんという感じで「富山型デイのデメリットは?」との我々の質問には「ではどういうデメリットがあると思われる?私たちにはわからんのがや。」「ここは住宅街の中にあり、近所の方の中には色々と言われる方もあるけど、結局、自分が迫られんとわからのや」と一向に気にする様子はありません。他のスタッフの皆さんも、阪井さん同様元気な女性たちでしたが、この気っ風とさわやかさこそが富山型デイの原動力なのではないかという気がしました。
パンフには「死ぬまで面倒みます ありのままを受け入れます いいかげんですんません」とありました。「親子じゃないけど家族です」を実践しながら、種別を超え、かつての大家族のような自然な姿にこそ本来の生活(デイサービス)があるという強い信念には敬服しました。しかも、この施設、見事に黒字を達成、税金も払っているのです。これはスゴイ!
ただ私は、富山型デイの実践は、まだ十分に検証可能な段階には至っていない気がします。現在は高齢者の利用に比べて障害者や児童の利用はまだわずかでしかありません。一体どのような構成が適切なのか、障害の程度に応じた適切なケアは確保できるのか、幼児が長期間にわたってサービスを受けるとき保育園や幼稚園などの保育とどう関連づけられるのか、などなど、これから検証していかなければならない事も多いと感じました。
とはいえ、めざすべき本来のサービスを実践するためには、従来の壁をぶちこわして実現してしまう「富山型デイ」のエネルギーには今後も大いに着目していく必要がありそうです。
写真は「にぎやか」での様子。