地域猫は幸せだろうか 動物の愛護と管理体制の再構築を

私の住む集合住宅周辺でかわいがられていた猫のイシ(あるいはミーちゃん。いろいろな呼び名があったのです。)が先日の朝、死亡したとのお知らせがありました。
もう十数年も前から、この猫は、地域の皆さんからとても可愛がられており、中でも動物愛護ボランティアのOさんは、不妊手術を自費で施し、時折、体を拭いたりノミ取りの薬なども塗ってあげるなど、何くれとなく世話をしてくれていました。

地域猫イシ(実は女の子でミーちゃんとも呼ばれていました)

時が過ぎ、すでに高齢となったイシは、さすがにこの夏の激しい暑さに耐えかねたのか、次第に弱ってきた様子を見かねて、Oさんがご自宅に引き取り介抱して下さっていたのですが、数日たって残念ながら死亡したとのお知らせを受けたのでした。

飼い主のいない猫を地域の同意を得て、不妊・去勢手術を施し、一定のルールに基づいて世話をしながら生涯を全うさせて、最終的には野良猫の頭数を減少させていく「地域猫活動」は、北九州市でも平成24年から取り組まれています。
イシはその制度による「地域猫」ではありませんでしたが、周辺に迷惑をかけることもなく、事実上の地域猫として可愛がられていました。
イシの生涯は、地域の人々に包まれて、きっと幸せだったのだろうなと思う一方、気候の変化や事故など野外での地域猫の生活は、どうしても過酷なものにならざる得ないことを考えると、ペットとしての猫は、(とりわけ都市部では)やはり「完全家飼い」を目指すべきなのではないかと、改めて感じました。
ちなみに我が家の猫は、生まれてすぐやってきた時から一歩も家を出ていませんが、ほとんど病気もせず、今年元気に18歳を迎えました。

かつて「動物殺処分日本一」と言われた福岡県。北九州市も例外ではありませんでした。
私も市議会で何度となく、動物愛護と管理の問題を取り上げ議論してきましたが、動物の愛護と管理条例の制定と改訂を繰り返しながら、殺処分数は次第に減少し、特に平成26年には北橋健治市長の肝いりで「致死処分ゼロ社会」を宣言。令和元年度には犬の致死処分ゼロを達成しています。
ただ、動物愛護センターに持ち込まれる動物は、今でもその圧倒的多数が子猫です。
「致死処分ゼロ社会」を真に実現するには、その子猫たちを譲り受けて、生涯責任をもって飼って下さる人々の存在が不可欠であり、また、その仲介をしてくださる動物愛護ボランティアの方々のご活躍によるところが大きいと考えています。

そこで今後は、老朽化し時代のニーズに合わなくなった本市のご動物愛護センターの再整備と、動物たちの引き取り手を見つける譲渡機能や、動物愛護ボランティアの活動を支援できる制度づくりなど、大きな枠組みを再構築する必要があるものと考えています。
来月3日から開会される北九州市議会9月定例会でも、会派の議員仲間も、この問題を取り上げ議論するほか、関係委員会でも議論される予定ですので、今後の取り組みの一助となるものと思っています。

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