激戦を終えて、北九州市長選挙の勝因敗因などの分析がマスコミ等で行われています。お聞きすると、敗北した相手陣営では投票日直前の柳沢厚生労働大臣の「女性は産む機械」発言が大きく影響したという分析がなされているのだそうですね。
しかし、私の実感では柳沢発言が主要な問題だったのではない。市長選挙で市民の皆様とお話していても、ほとんど柳沢発言は話題になりませんでした。
今回の選挙で北橋健治さんが圧勝した主要な要因は、第一に20年間の末吉市政に対して市民の「飽き」が生じており、有権者が「変化」を求めていたこと。第二に、小泉政権から安倍政権にかけて、高齢者・勤労者の所得が伸びない中で医療費や税などの負担が急増し、人々の間に格差社会に近づいているという不安と不満が鬱積していたことであり、これら有権者の思いを託すべき次期市政リーダーとして、末吉市政の継承者である国交省出身で自公推薦の柴田氏は(陣営の選挙戦術のまずさも手伝って)選択されなかったという事ではないか。
逆に、北橋さんは、末吉市政からの脱却を謳った上で、福祉や教育への重点投資を訴えて市民の不安への対応をすすめることを約束した。具体的施策をマニフェストで提示したこともあり、共産系候補の非現実性を見抜いた市民の声を受け止めることに成功したということができるのではないでしょうか。
いずれにしても、市民の声を受け止めたか受け止め損ねたかの結果であって「柳沢さんのせい」ではなさそうです。
しかし、受け止めた市民の声と期待は多様で厳しく時には気まぐれでさえあります。北橋新市長が、もしも市民の声の本当の意味を理解せず、謙虚な態度で市政運営をすすめなかったら、あっという間にその期待と信頼は失われることになるでしょう。勝利した喜びは大きいけれど、ここは謙虚に謙虚に、市民の期待に応える内容のある市政運営を行っていただきたいものです。もちろん私もがんばります。