カレーやしきのまりこさん 

18kids.jpg出張から帰ってきたら、一冊の絵本が自宅に届いていました。『カレーやしきのまりこさん』というご本で、送ってくださったのは著者の方藤朋子さんでした。方籐さんは、母も所属させていただいていた地元の児童文学誌「小さい旗」の同人です。絵は、同じく北九州在住の大熊美和子さんによるもの。
 
主人公の小学生の女の子はるなは、ご近所に住む一人暮らしのおばあさんがカレー料理を作っているのをのぞき見たのをきっかけに、そのおばあさんと知り合いになり、おいしいカレーをいただきます。
でも、おばあさんは一人暮らしで寂しそう。カレーの味も「なんだか、さびしいあじがする」と、はるなは感じます。そこで、他の子どもたち呼んできて、おばあさんのお家で楽しいカレーパーティがはじまります。
実はおばあさんは時々居眠りをしてしまったり、子どもたちの名前を間違えたり。多少認知症が出始めているようです。でも、はるなたちは、かまわずおばあさんを囲んでカレーパーティ。そこには、はるなと同じ名前の、おばあさんの成人したお孫さんもやってきていました。
ご近所付きあいと子どもたち、一人暮らしの高齢者をまじえた暖かい地域社会を願う著者の方藤朋子さんの豊かな心が感じられます。
 
私も、かつて小学生低学年の頃、ご近所で森に囲まれたお屋敷のおじいさんと仲良くなり、しばしば訪れては遊んで頂いたりいろいろと教えていただきました。その方は、実は結核による療養中だったらしく、父母が「病気は大丈夫なんだろうかねえ」なんて話していたのを「何のことだろう」と不思議に思ったりしたのでした。
成長してからは足が遠ざかりましたが、今でも、緑に囲まれた古いお家とその方の風貌を今思い出しても懐かしく思います。はるなちゃんたちにも、おばあさんはきっと楽しい思い出を作ってくれたことでしょう。

ご近所の年長者の方の存在は、地域の子どもたちにとって、いろいろな思い出を作ってくださる貴重な存在ですね。健康状態に多少の問題があっても、地域社会で支え合う心豊かなコミニュティを実現したいものです。方藤さんありがとうございました。

石風社・刊

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