誰が責任ある発言をしたか?公開討論会

北橋健治さんをはじめ市長選に臨む予定の3候補が、そろって語り合う公開討論会が青年会議所の主催でひらかれました。
ある陣営が討論会のテレビ録画を拒んだことで、討論会の様子が家庭にまでは届かないことになるなりました。(この件については、本来、主催者側がなぜ録画を拒むのか、陣営の基本的姿勢をもっと厳しく質す必要があったのではないかと思います。公開の場で自らの考えを述べることを、幅広く市民に知ってもらう作業を制限する理由は何もないはずだからです。市長の資質にもかかわる重要な問題だと、主催者の方はどれほど意識されたのでしょうか。)最初から、ちょっとしらける事態となりましたが、討論会はともかくも開催となりました。

そこで私の感想。まず、時間が長すぎましたね。いくら「4年に一回ですから、ご協力を」(コーディネーターさん)と言われても、夜の7時から10時近くまで引っ張るのは、やり過ぎでしょう。予定候補者さんたちもお疲れだったはずです。
前半は、市行政の内部をどのように改革するのかというテーマのやりとりが続きました。教育や福祉、環境など具体的な課題について語られ始めたのは午後9時をすぎてからでした。会場の皆さんの疲れた様子は私にも見てとることができました。県政や国政と違って、市政は住民の生活により密着したものです。教育や福祉など「暮らし」に近いところに、市民の関心はより高いはずですね。そこにもっと応える討論会であってほしかったというのが率直な感想です。(もちろん、討論会開催の意義とご努力に敬意を表していることを前提にしてのお話です。誤解のありませんように。)

さて3人の予定候補者さんのお話についての私の感想。
まず、わが北橋健治さん。近い立場にいる私からみれば「いつもの切れがちょっと…」だったかなあ。少々お疲れでしたね。それでもマイクを持つと、学校の施設整備の必要性や、健康づくりを中心にした高齢者対策、環境ビジネスの振興、持論を展開しながらのツボを押さえた語りはさすがでした。浮ついたことは述べないが、論理的で具体的な考えを示して、責任を持って市政運営に当たろうとする意欲を見て取ることができました。
一方の予定候補者さんについては、なかなかファンタスティックなご発言でした。お聞きしているご主張では、はいこれ30億円でできます。これは20億円。(経済が活性化すれば)市税はどんどん入ってくる。市営住宅に100億円、学校に100億円、ゴミ袋もタダ、国保料も介護保険料も値下げと大盤振る舞い。財源は、たとえば、新空港アクセス鉄道1000億円をやめます。(アクセス鉄道はまだ夢の中です。1銭も使われていない事業をやめるからと言って、財源が浮くわけではありません。)つまり、とてもじゃないが実現は不可能です。
現在の北九州市の財政事情は、こんな大盤振る舞いができるほどの浮かれた状況ではありません。一歩間違えば、夕張市になってしまいかねない厳しい現状を、どうやって乗り切っていくのか、そのために市民にとって必要な事業をどれほど絞り込んで確実に実行していくかが問われているのだと思います。その意味で、莫大な事業がすぐにでも実施でき、あらゆるモノがタダに出来るかのような主張は、無責任だといわざるをえません。
また一方の予定候補者さんは、具体的なことはほとんどおっしゃらない。曰く、教育は大事です。子どもを大切にして…。全くその通りです。「トップはあまり細かいことを言ってはいけない」のだそうです。
リーダーの人柄を信じて任せなさい、とおっしゃるのも理解できない訳ではありませんが、それではこれまでの市政とどこがどう違うのか、違わないのか。たとえば具体的に何がやりたいのか、示していただかなければ有権者にはわからないのではないでしょうか。現市長は、この方を明確に推しておれれる。しかも、同じ国土交通省のご出身ですね。白紙委任して下さいといって従ったら、やっぱりこれまでと変わらなかったでは話になりません。
北橋健治さんは、当選後にすぐ実施する具体的な事業をあげて、すでにその姿勢を明確にしました。今日の毎日新聞報道などによれば、その他の方々は、こうしたマニフェストを示す予定はないそうです。ぜひ、市長に当選されたら、具体的に何をなさるのか、それはどう実現できるのか、有権者に対して示していただきたいと思います。これはイヤミなどではなく、いよいよ21日に告示される選挙で、有権者の選択肢がより明確な形で示されることを願っての思いです。

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