平松・鋳物師まちびらき

江戸期に漁師町・町人町・農業集落として形成された平松・鋳物師地区は、家同士が軒を接するようにひしめき合った古い住宅地でした。そのため防災上の問題や下水道など都市基盤の不足などから、住環境の改善事業が平成4年からはじまりました。

私もかつて平松地区のお宅を訪ねたとき、どこから入ってどこに出られるのかも分からない迷路のような軒並みに驚いた経験があります。
事業の必要性は明らかでした。地区大半の370戸以上を取り壊し、新たに集合住宅や道路の整備などがすすめられ、今年度に完成。今日の「まちびらき」となりました。

この間、同事業には13年間で約148億円の事業費が投じられましたが、住居の移転補償をめぐって、不祥事が発覚しました。
市の平松開発事務所(現平松開発室)職員らが家屋の移転補償費を二重に請求したり、実在しない家屋の補償費請求をしたことなどが判明。架空請求などによる不正支出は約1億1千万円に上りました。
市は、不正支出の中心人物である元職員を懲戒免職にし、関係者を詐欺などで告訴もしましたが、強引に有利な補償をひきだそうとする一部住民の動きなどもからんで、不正の発生しやすいこうした事業の問題点を浮き彫りにした格好となりました。
私には、一担当者が単なる自分の利益だけを考えて不正に走っただけの事件とは思えません。市長をはじめ市幹部にも、こうした不祥事を引き起こした事態を重く受け止め、真摯に反省するとともに二度とこうした事件を引き起こさない決意が求められると思います。

今日の式典では、末吉市長が「不祥事は私にとっても衝撃でした。関係者には不愉快な思いをさせてしまいましたが、事業を遂行することが唯一の責任と考えている」とあいさつされましたが「申し訳ございませんでした」という明確な謝罪の言葉は聞かれませんでした。私はそれを残念に思いました。
何よりも不祥事を発生させないこと、しかし、発生してしまったら厳しい処分と関係者の責任が問われること、つまり信賞必罰が明確にならなければ市民の本当の信頼は得られないのではないだろうか。この点は、これからの市政でも重要な問題として議論していく必要があるなあと思った次第です。

こうした思いとは別に、広場では威勢良く御神輿が担がれ、祇園太鼓が鳴り響き、名物たこの唐揚げが配られたりしました。この住民の活気が、より良い平松・鋳物師地区のまちづくりにつながっていくことを祈りながら式典会場を後にしました。

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