待ったなしの国保料の見直しー 本会議で論議

本会議の議論でもう一つの大きな課題は市の「国民健康保険料の見直し」問題でした。家庭用一般ごみ収集制度の見直しと同様、世帯の約半数37万人以上の市民生活に影響する重要な問題です。

 高すぎる保険料の中身

 平成16年度に北九州市の国保加入者が使った医療費は約1862億円、一人あたり49万8千円余りで政令市の中では最も高くなっています。
 この医療費のうち、受診者が払った一部負担金を除いた総額を保険で支払う訳ですが、現状はその約半分(52.3%)を国が払い、残りの半分を本来は加入者が保険料として支払う仕組みとなっているところ、市が一般会計から20.7%分(約152億円)を繰り入れた結果、加入者は残りの27.0%を保険料で支払うという仕組みになっています。(平成15年度)
 この保険料を、北九州市では所得割(市県民税総額を基礎にする方式)で42%、均等割(被保険者別)42%、平等割(世帯割)16%で、割り込んで保険料を計算するのですが、特に問題はこの所得割です。
 国保加入者のうち市県民税を支払う課税世帯は年々減少し続けています。増え続ける医療費の一定割合(42%)を、少なくなる課税世帯で割り勘するとどうなるか。平成13年度には、市県民税総額の3.96倍だった保険料は平成16年度には4.8倍に増加しました。市県民税課税世帯の保険料が跳ね上がることになってしまうのです。これが「北九州の国民保険料は高すぎる!」といわれる中身です。

 来年度の税制改悪が直撃

 これに来年度の税制改悪が直撃します。政府の方針通り18年度に公的年金控除の見直しや老年社控除の廃止が実施されると、加入世帯の21%、4万5千世帯が保険料増となってしまいます。特に年所得「100万円から250万円」の階層のうち46%、2万9千世帯が保険料の値上げとなると推定されています。
 ただでさえ高い課税世帯の保険料を「今年中にどうにかしておかないと」という待ったなしの状況に置かれているというのが市の国保の実情なのです。

 「市県民税方式」から「所得比例方式」へ変更を提言 

 そこで、法律で設置が義務づけられている市国民健康保険運営協議会(迎 由理男会長)では8月31日に提言を行い、①所得割保険料の賦課方式を現在の市県民税方式から、所得比例(旧ただし書き)方式に変更する。②法定軽減を活用出来る「応能・応益割合の変更」③経過措置の実施などを内容とする保険料のあり方の見直し案を提言しました。
機械的に市県民税の保険料率をかける現在の方式から、総所得金額から基礎控除33万円を差し引いた「所得」にたいして保険率をかけることにすれば、所得割を支払う人の数が増え、その分多くの人で負担することができます。
 同時に、所得割の比率を上げることで、保険料の軽減を2割から7割まで拡大できるというものです。
 一方で、新たに保険料支払いが発生したり、大幅に増加する世帯には急激な引き上げにならないよう経過措置を実施することにしています。

もう少し検証の余地が…
 
 現行の国保制度のもとで、来年度からの保険料の急激な増加に対応するためには、こうした所得割の方式変更などの措置が現実的に必要です。
 大枠で私も異を唱えるつもりはありませんんが、かつて保険料の値下げのために応能割の率を縮小を主張して実現してきた経過を考えると、法定軽減の活用と応能割の拡大とのバランスや、経過措置のあり方などもう少し検証の余地がありそうです。
 この問題も、12月議会までに結論を出さなければならない問題であり、本議会閉会後も、十分勉強しつつ検討していきたいと思っています。

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