首相が人事断行を示唆し、麻生派対反麻生派の議員同士がののしりあうなど自民党政権は益々混迷の度を深めているように思えます。
96年の旧民主党から参画してきた世良俊明も、次期衆議院選挙で歴史的政権交代を実現するためさらに取り組みを強めることにしています。
そこで「せら俊明市政レポート」では本紙では不足しがちな政治情報・意見や提言を発信するため「ザ・ポリティカル」と題して市政レポート号外を発行しました。その第1号から世良俊明の主張の一部を以下ご紹介します。
◎社会保障財源=消費税増税は間違いだ!
6月17日に行われたの鳩山代表と麻生首相の党首討論で、私が特に注目したのは社会保障財源の問題でした。
麻生首相は社会保障財源として「消費税増税を避けて通れない」として3年後の消費税増税を主張。これに対して鳩山代表は「財源確保の道は3つある。借金か増税かムダをなくすだ。私どもは徹底してムダをなくす方向に立つ。官僚任せだとムダはないとの結論になる」と反論しました。
◆財源は必ず出来る
生活を支える年金や医療・介護などの社会保障は国民のための最も大切な支出予算であり、抑制ではなくむしろ充実こそが求められています。
医師・看護師不足解消や後期高齢者医療制度廃止毎月2万6千円の子ども手当支給など社会保障を充実をさせる民主党の公約実現には数年後に約20兆円が必要だとしていますが、麻生首相はこれを「現実的ではない」と批判しました。
しかし一般会計と特別会計を加え年200兆円を超える国の予算規模に対して約10兆円の削減を含む計20兆円程度の財源確保は決して難しくないと思います。
◆市長選挙で同じ経験
実は私たちは北橋北九州市政実現の過程で、自民党推薦の相手候補から「年間200億円の事業を掲げた北橋マニフェストの財源などない。実現できない。私は財政の専門家だ」などと同様の批判を浴びせられたのでした。
しかし私たちは、年間約5千億円の市の予算を横断的に見直して必要な財源は絶対確保できると試算していました。そして北橋市長は見事に財源を確保。マニフェストを反映した予算をこの3年間着実に編成しつづけているのです。
これまで国会での充分なチェックもされなかった莫大な特別会計を含む全会計を横断的に精査すれば当面の財源は必ず確保できるでしょう。
◆消費税を上げる前に
いや当面は良いが近い将来には財源不足となり消費税増税が避けられないのではというご意見もあるでしょう。でもちょっと待って下さい。
現在の税制には、資産課税が軽いため年間所得2千5百万円を超えると実効税率が下がっていく不公平をはじめ、納税者番号制がないなどのため5兆円とも言われる所得課税逃れが生じていること、消費税が先進国では一般的な伝票方式でないため益税と呼ばれる課税もれが生じると同時に低所得層に配慮できないなど、多くの税の不公平が存在します。
識者によればそれを是正するだけで年間10兆円以上の財源確保ができるとの指摘もあります。(たとえば北野弘久日大名誉教授等の試算では07年度で約21
兆8千億円もの財源が確保されるとされています)
こうした現状を放置しておいて社会保障財源が足りないから消費税大幅増税をという自民党政府の主張は「やらずぶったくり」とでも言うべきで、とうてい国民に受け入れられるものではありません。
◆消費税は地方財源に
鳩山代表は政権を担った場合任期中の4年間は消費税を上げることはしないと明言しました。 私は賛成ですし、その間に抜本的な税制改革が検討されることになるでしょう。
ただ、消費税を「福祉目的税」として社会保障の財源とする意見(民主党も基礎年金部分に充当するとの方針を持っているとされています)については、かなり危険だと思います。
まず消費税だけでは社会保障財源をまかなうことが出来ないため、「福祉目的税化」すると自動的に社会保障抑制か消費税の大幅アップかを迫られることになりかねません。
また地域的な偏りが少なく支出されたサービスへの課税という消費税の性格からは本来地方税にむいているのであり、年金など社会保障は所得税など「応能的」税財源で国家が責任を持って保障することが適当です。
さらに消費税をそのままにして社会保障にあてるということは、地方財源として使わないということであり、地方主権をめざす分権改革の行方に大きな制約を与えかねません。消費税は地方主権をめざす重要な地方財源として検討すべきであり、私は民主党内での今後の論議にも注目していきたいと思っています。
◆総選挙で政権交代を!
いずれにしても今回の党首討討論では、麻生自民党政権が既存の制度にメスを入れて国民生活を守るための大胆な改革を進める能力も責任も失ってしまっていることが誰の目にも明らかになりました。
来るべき総選挙は、構造疲労を起こして混迷する自民党政権に代わって、民主党を中心にして国民の側を向いた新しい政権を作り上げる絶好の機会です。」
※なお上文は世良俊明個人の主張であり、民主党の公式見解とは関係がありません。文責は世良にあります。本紙ご入用の方はお申し付け下さい。