市議会厚生消防常任委員会の行政視察に出発しました。「物見遊山だ」などと何かと批判を受ける行政視察ですが、「百聞は一見にしかず」他市の取り組みを現地で説明を受け見学することが無駄だと、私は思いません。多くの学ぶべき点を吸収することができると思います。後でそれを活かすかどうかは議員の資質によるのであり、有権者の皆さんが正しく評価していただきたいと思うのです。
さて出発は新北九州空港からスターフライヤーでまず東京へ。飛行機は見事定時運行でした。(新規航空会社のスターフライヤー。就航率はすばらしいものの、定時運行には若干不安がありましたが、ようやく問題を乗り越えてきたのかと思いました。)
まず東京都介護予防推進モデル地区の指定を受け、千代田区が公園に設置した「介護予防施設」を見学。公園で子どもの遊具に加えて「あしのばし」や「お腹ひねり」などのできる健康遊具を設置したものです。見学した東郷元帥記念公園には身近な場所で気軽に励むことができる9種類の遊具を設置、10基で約870万円かかったそうです。 見学したのは午前中でまだお年寄りが使用している姿は見かけませんでした。どれほど活用され、効果があるのかは正直わかりませんでした。国の補助があるんだったら、公園に設置して「どうぞ使って下さい」というのも悪くはないかなあ、という感じでした。
東京を出発して長野県茅野市へ。ちょうど線路隆起事故で山手線が上下とも不通になってしまった時でしたが、中央線は大丈夫でホッとしました。
めざすは諏訪中央病院。地域と一体となった医療活動の展開で「病院らしくない病院」として親しまれ続けているこの有名な病院でのお話は是非お聞きしたかった。
名誉院長さんなどのお話などはさすがにお聞きできませんでしたが、事務長さんから病院の特長や経営の現状など興味深いお話をお聞きできました。
この病院のスローガンは「あたたかな急性期病院」。手入れの行き届いた庭など院内の環境は患者を尊重した工夫がこらされていましたし、9つの住民ボランティアが支えています。
医療面でも、救急や心臓血管外科の設置、手厚い看護師の配置、看護学校や緩和ケア病棟の併設など、コストはかかるものの地域の総合病院として「いざという時に頼りになる病院」「患者さんを思いやる病院」としての整備がなされていました。
それでいて経営の内容を示す医業収支比率はずっと100%を越え続けているのです。つまり赤字を出していない超優良病院と言うわけです。日経新聞による経営安定度の評価では全国5番目だとの説明もありました。
しかし「産科など医師の確保」「診療報酬改訂」など今後の経営問題について私がおたずねしたところ、事務長さんは「うちも例外ではありません。産科医師の確保も極めて危ういし、診療報酬改訂の影響で正直どうなるか全く分からないのです。」とお答えになりました。
この超優良病院にして、経営の不安を抱えているのです。同病院は、この地域では唯一の病院です。これが破綻したら誰が責任をとるのか。
「国は病院を潰そうとしているのか」との声がでるように、定見もない医療費抑制だけが自己目的化した医療行政が続く限りこの不安はなくならないと痛切に感じました。
写真左は千代田区東郷元帥記念公園の「背のばし健康遊具」。右は八ヶ岳連峰をのぞむすばらしい環境にある諏訪中央病院。