『政府は、私立保育所の保育士が給与の低さなどを理由に短期間で離職してしまう例が後を絶たないことから、待遇改善に向けた具体的検討に着手した。』と時事通信社が報じています。
せっかく保育士の資格を持ちながら、きつい仕事と待遇の悪さで保育の仕事に就かない、短期間で離職する、保育士が不足するなど、保育現場では大きな問題を抱えています。なので保育士待遇の改善に私は大いに賛成ですが、気になるのはその手法。保育所への補助金を増額するのだそうです。
一方、政府の子ども・子育て新システム検討会議の考える「こども園」では、短時間の保育を保護者との直接契約で実施し、保育需要に応えるようにしたいようです。こうした多様な短時間保育をうまく回しておこうとすると、経営主体は、日々代替えや短時間勤務の非正規職員を多く抱えておこうとするでしょう。背に腹は代えられないからです。
多少の補助金を上乗せしても、非正規の臨時職員でしか回らないような保育制度にしてしまっていては、待遇が改善するはずはありません。給与増どころかさらに給与が低くなりかねない。
まずは、新しいシステムが正規の職員で保育できる制度となるように設計した上で、保育士の待遇改善には、現状の保育単価制度を維持し、その保育単価の積算根拠となる人件費の内訳を示して、あるべき保育士の基準賃金を明確にすることが必要だと思います。今後の検討に注目していきましょう。