昨年の事故教訓に認可園中心の保育を

市議会保健病院常任員会が開かれ、北九州市母と女性教師の会から出された「学童保育の充実について」の陳情と、公的保育の充実を求める陳情の2件の審査が行われました。
学童保育の充実については、私も異議ありません。ただ全児童化や今後の充実策については、市の方向性もまだ定まっていない気がしており、今後の枠組み作りについて研究していきたいと思っています。
公的保育の充実についても、その題目に異を唱えるつもりはありませんが、認可外保育施設に対して「地域に根ざした活動を行っている」というだけで認可を求めたり、補助金を増額することを求めておられるなどについてはご意見を申し上げないわけにはいきませんでした。

以下、認可外保育施設問題についての私の発言要旨です。
「認可外保育施設であっても、最低基準をクリアーして営利目的ではない運営が継続的に可能な施設については、認可の方向があってもよい。歴史的にも認可外施設を認可してがんばっておられる保育園も多い。
認可保育園では、第三者評価制度や厳しい監査も行われるが、それでも多くの課題をかっかえている。子どもの命をあづかる事業はそれほど厳しいものだ。
できれば、最低基準の底上げは必要であり、その方向には賛成である。
しかし、一方で最低基準もみたさず、公的運営もなされていない認可外への安易な補助金の増額などには賛成できない。
厚労省などのやり方は首都圏など保育需要の逼迫していることに対応できないため、公的保育の充実をする方向ではなく、認定子ども園や認可外施設基準などをもうけるなど場当たり的対応をしている。私は、昭和23年児童福祉施設最低基準がこうして掘り崩されることを恐れる。
安易な、認可外施設への認知が容認できないのはそのためだ。
我々は、昨年の夏のあの痛ましい認可外保育施設・中井保育園での死亡事故を経験した。そこではもっぱら営利を追求する経営者のもとで、熱暑の園外活動に出て、帰った児童の確認も怠るという初歩の初歩もできていないなど、驚くべき劣悪な運営がなされていた。
事故の再発防止の方向は、指導の強化と研修実施、そして運営の透明化だ。
もしこうした認可外を、単に補助金を出し認知するだけだとしたらどうなるのか。
営利を追求せず公的委託を受けて運営していくことで、からくも最低の保育水準が維持できるのだと私は思う。営利を追求し、それを前提とする認可外保育施設では、人件費か、施設か、子どもか、いづれかが犠牲になることを避けられない。最悪の場合、子どもの命が犠牲になる。 中井保育園の事故はその端的な例だ。
我々は何よりも子どもたちのために、その最低のラインをどうやって確保するのか、よりよい保育環境で育てることに心を砕くべきだと思う。
先ほど条件をつけながら支援をという意見もあったが、その条件こそ最低基準なのではないか。だからこそ、認可保育園を中心に保育を展開することが本市の基本となっているのであり、市には今後もこの方針を貫いて欲しい。」
2件陳情は、ともに継続審査となりました。

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