午後4時前、衆議院が解散。永田町は一気に選挙モードに突入しました。
野田首相は、自分の党・民主党のリーダーとしては、支持率がこれほど低迷している最低の時に解散するというのは政治的には愚の骨頂というべきでしょうが、党内からの「野田降ろし」や「離党による過半数割れで不信任案可決」などを目の当たりにしての窮余の一策なのでしょう。追い込まれ解散の一形態というべきか。
野田首相は解散後の記者会見で「古い政治に戻すのか、政治を前に進めるのか」と選挙の意義を強調しました。言いたいことは解りますが、少々抽象的ですね。もっと具体的に自民党政治との違いを訴えるべきでしょうが、この3年間にそれがきちっと施策化出来ていれば、こんな体たらくにはならなかった。
とはいえ解散は、党員自らが選んだ党首が判断したことですから、やむをえません。淡々と、民主党政権の意義と成果を訴えて、国民の賢明なご判断を仰ぐほかないと思っています。
一方、自民党の安倍総裁は、すでに政権返り咲きが決まったかのような様子で講演し「最大の問題点は長引くデフレと円高であり、インフレ目標政策を採用し、目標達成のため、無制限に金融緩和していく」と語ったほか「デフレ脱却のため、来年度予算も景気刺激型にし、公共投資を増やす」と強調したと報道されています。(読売新聞等)
また、原子力発電所の再稼働方針を明言。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加にも前向きに取り組むと表明したそうですが、TPPのほうは、JAなどの反対を受けて態度を翻したとか。(毎日新聞等)
自民党が「国土強靭化計画」とかで200兆円もの公共事業を進める方針であるのはすでに知られていますが、一体財源をどこに求めようというのでしょう。消費税を増税しても、それらはほとんどが社会保障の自然増をまかなうにすぎず、大型公共事業に回す財源の確保は難しい。結局は、国債の発行つまり新たな借金を増やすことになるのでしょう。
また、無制限の金融緩和でデフレを脱却できるとは限らず、不況が深刻化する恐れもあります。しかも、小泉安倍時代に進められた社会保障抑制とセーフティネットの未整備なままの非正規労働者の急増などが復活すれば、社会の混乱と不安が再びもたらされるに違いありません。
この国の賢明な有権者は、痛みを国民に押し付けて顧みなかったあの時代を再び選択するというのでしょうか。私はそれを信じたくありません。