ポストコロナの新しい空港ビジョンを描くべきー北九州市議会空港特別委員会

北九州市議会の北九州空港機能強化・利用促進特別委員会が11月6日に開かれ、同委員会で検討している「空港運営の民間委託化」について、参考人としてお招きした㈱MK総合研究所・所長の幕亮二氏から講演をしていただきました。
幕氏は、これまでも数多くの空港運営の民間委託について、応募企業のコンサルティングを手掛けてきたほか、平成26年度に発表した北九州空港将来ビジョンの作成にもかかわってこられた専門家です。

幕氏は、ご講演の中で、
北九州空港はコロナ禍でサプライチェーンが寸断されるなかで、貨物専用便を運航することで大きな役割を果たしている。「北九州空港があってよかった」という、北九州空港のメリットを、今後もさらに活かしていく必要があること。
空港運営の民間委託については、国のレベルでは現在一段落しており、これから始めても、少なくとも4~5年はかかるので、早いうちに手を挙げたうえで、論点を整理しつつ、緩やかなビジョンを描いて多くのアイデアを掘り起こしていく必要があるなどと述べられました。

平成26年の北九州空港将来ビジョンのイメージ図

かつて関わられた「北九州空港将来ビジョン」に描かれた内容が、決して非現実的なことではなく、たとえば当時、イメージ図に描いたロシアの大型貨物専用機アントノフが実際に飛来するなど、実現していることなどに触れて、感慨深いとしつつ、将来ビジョンの大切さを強調されていました。私も同感でした。

また、幕氏が説明された「北九州空港将来ビジョン」のイメージ図の中で、「災害時の対応」について示された図(上記のイメージ図)については、実は私は、見たことがありませんでしたが、北九州空港が大規模災害時にも大きな役割を果たすこと下できる可能性を、当時から検討していたという点では、非常に興味深いことでした。この点は、機会があればさらに事情をお聞きしたいものと思っています。

災害対応時のイメージ図
(将来ビジョン)

同特別委員会では、市議会の改選前の最後の開催ということで、調査研究結果の取りまとめをするための意見を求められましたので、私は以下の趣旨で意見を申し上げました。

  • 北九州空港運営を民間委託するコンセッション方式の導入については、新型コロナウイルス感染症による航空需要の激しい落ち込みや、関係企業の苦境を踏まえ、今直ちに結論を出すこととせず、引き続き、調査研究するという委員長提案に賛同する。
  • その上で、まずは調査費が計上された滑走路の3000メートル化の早期実現に向けて、RESAと併せて、一日も早い実現を目指すこと。
  • 航空貨物需要の掘り起こしを進め、通関体制の拡充を含めた物流機能の強化に取り組むこと。
  • 旅客については、旅客の柱である首都圏への需要を確保するため、成田空港へのLCC誘致や、羽田空港への旅客便の拡充にさらに取り組むこと。
  • 民間企業を含めた感心を集め、多くのアイデアを掘り起こすとともに今後の取り組みの基礎資料とするため、ポストコロナ時代の次期北九州空港将来ビジョンを策定すること、でした。

また、同特別委員会では、今年1月21日の委員会で、アジア成長研究所の八田達夫理事長が示された、北九州空港へのアクセスの改善策についての提案内容の実現可能性について、建築都市局の見解が示されました。
同局からは、JR小倉駅北口から高架道路で都市高速へ直結する案と、都市高速長野出入り口から国道10号線上での高架道路を設置する案のいずれも、数十億円から数百億円という多額の事業費に対して、3,4分から11分程度のわずかな時間短縮効果しか見込むことができないことから、実現は困難であるとの見解が示されました。
この方式による事業費が多額に上ることは、私も理解したところですが、高架道路を建設せずともエアポートバスのターミナルをJR小倉駅北口に移転するだけでも、多額の費用はかからずに一定の時間短縮効果が期待できるはずです。この点は今後も、検討を要請しておきました。

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